〜なぜ“食べる”機能が衰えるのか〜
■食べる機能の衰えの原因には個人差がある。
食べる機能の衰えは、5段階の各期の変化から起こるが、原因がはっきりしないことも少なくない。
症状には個人差があり、さらに、なんらかの機能低下があったとしても、その機能を別の機能で補おうとする代償作用(ある器官が機能しない時に、代わりに別の器官がその機能を補う働きをすること)が働き、一見すると問題がないように見えることもある。ここでは食べる機能が衰える主な原因をみていく。
【主な原因】
①歯の欠損
歯の本数が減ると、食べ物を咀嚼する機能が低下する。
また、噛み合わせが悪くなるため、下顎が安定せず、飲み込む機能にも影響を及ぼす。
入れ歯を使う人もいるが、咀嚼機能は万全ではない。総入れ歯の人は歯がきちんと残っている人より、咀嚼率が20%以下になることもある。
②口腔周囲(特に舌)の筋力の低下
舌を上下・左右に突き出す力が弱くなり、口の中で食べ物を移動させて噛むことが困難になる。
通常は、舌先を口蓋(口の中の上側)に押しつけて飲み込むが、機能低下が起こると、代償作用として舌の根元の部分の運動により、食塊を喉へ送り込んでいる場合がある。
③唾液分泌量の減少
唾液の分泌量が滅少すると、咀嚼の際に食べ物を唾液と混ぜて、飲み込みやすい形にする食塊の形成が困難になります。また、口腔内が乾燥し、舌痛症(外傷などがないにもかかわらず、舌にやけどのようなヒリヒリ、ジンジンする痛みを感じる病気。食べている時は痛みがない。)や味覚障害を引き起こすこともある。睡液による口腔内の殺菌作用も衰えるため、口腔内の舌・粘膜面の保護機能の低下や衛生環境の悪化にもつながる。
④味覚の変化
高齢者の味覚の変化は、生理的なものの場合と、口腔乾燥症(唾液の分泌量の減少や、口内の水分の過剰な蒸発により、口の中が乾燥している状態。口内に不快感や痛みが出るばかりか、虫歯や歯周病の原因になることもある。)、味蕾(舌の粘膜の乳頭に分布する。味覚神経に味を伝える)の減少、薬の副作用、亜鉛の欠乏などによる味覚障害(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味などの味覚が鈍くなったり、全く味を感じなくなったりする障害)による場合がある。甘味、酸味、塩味、苦味という味の基本のうち、特に塩味に対する感覚が鈍くなり、濃い味を好むようになる。このような味覚の変化は、食べる意欲の減退にもつながる。
⑤喉頭の位置の変化
加齢によって靭帯の緩みや筋力が低下すると、喉頭の位置が前下方に下がる。そのため、飲み込むときの、喉頭が前上方に上がる距離と時間が長くなり、あごを引く、うつむくといった代償作用が働く。この機能が十分に働かなくなると、誤嚥のリスクが高まる。代償作用の度合いは個人差が大きいといえる。
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