ぜんぶ、すてれば(読書メモ)
「こういう経営者になりたい」「この経営者のもとで働きたい」と強く思わせる1冊です。
本書は、ここ数年で革新的サービスを続々と生み出し、老舗企業から機動力溢れる組織へと変貌を遂げた、寺田倉庫 元・代表取締役社長兼CEOの中野善壽氏が、一人の人間としてのあり方を綴った1冊です。
著者については、約2年前にNews Picksの特集記事を読み初めて知ったのですが、その内容の面白さから勝手にファンになっていました。
そして、今回待望の初著書が出るということで発売日当日に購入し即読破しました。
率直な感想としては、久しぶりに本を読みながら気持ちが高揚しました。また、短く纏められた一言一言に重みがあり、読めば読むほどこれが自分の内面に深く刺さりました。
ということで、印象に残った内容をピックアップします(ちょっと長目です)。
今日できることは、今すぐやる。明日死ぬかもしれないから。
毎日を本気で向き合えてるかを改めて考えさせられました。
「明日がある」という希望は持つべきだけれど、本当に明日が来ると信じてはいけない。僕は七十五年以上を生きてきたから、「明日が来ること」が絶対ではないのだとわかります。今日できることは、今日のうちやる。今すぐやる。「何から先にやればいいのか」なんて考えなくていい。思いついた順に、なんでもすぐやれば、後悔することはありません。
自分の中のレジスタンスを守り抜く。
「反対意見はチャンス」という発想はなかったです。反応せず吸収することが大事ですね。
レジスタンスとは「抵抗」。「自分はそうは思わないんだけどな」とふと感じた〝違和感〟を大事にしてほしいと思います。
自分に対して反対意見を言われた時には、カチンと来るかもしれません。でも、そこには将来につながる可能性が隠れている。自分には思いつかなかった筋道を差し出されたチャンスだと考えたほうがいい。
準備万端の日は一生来ない。何も考えず、思い切ればいい。
たしかに万全の準備を求め過ぎて、行動できてないことは多い気がします。「嘘がなければ、思いきればいい」は刺さりました。
仕事や日常生活では打席のタイミングは自分で決めなきゃいけないことのほうが多い。「まだ早過ぎる。準備ができていないから」なんて言っていたら、いつまで経っても打席に立てない。
何かを気にするよりも大事にすべきなのは、自分に嘘をついていないか。できることは精一杯やってきたよな? と自分に問いかけて、嘘がなければ、思い切ればいい。
とにかく進め、だけでは危険。いつでもやめられる勇気を持って。
理屈はわかるものの、やめる判断って本当に難しいと感じます。場数を踏んで察知する感性をひたすら磨くしかなさそう・・・。
「これ以上進んだら危険だ」と察したら、迷わずブレーキを踏むのが大事。どうせ何をいつ始めても、成功する確率は百個に一個くらいのものでしょう。だから、止まる力こそが、安全維持のためには大事なのです。
予定を捨てる。ひらめきのための余白をつくる。
忙しいことを誇りに思ってた数年前の自分に、これを伝えてやりたいです。
意思決定する役割を持つリーダーは、いつでもアンテナを張っていないといけないし、思いつきの相談をいつでも受けられる余裕を持っていないといけない。分刻みのスケジュールを自慢するようでは、重要な情報が入って来なくなる。
だから、〝ぼんやりと考える時間〟を意識的に持つことがとても大事だと僕は思っている。
慣れを捨てる。見知らぬ人との会話が刺激になる。
「慣れるとバカになる」はまさにそう。職位が上がれば上がるほど、自分で意識的に負荷をかけないと成長できないですね。
人間は慣れるとバカになる。頭を使わなくなって、衰えていく。だから、できるだけ不慣れな機会に身を置くことが大切だと、普段から意識しています。
大事なのは、自分に〝負荷〟をかけ続けること。僕はむしろ見知らぬ町の市場に飛び込んでいって、店内で買い物をしているおばちゃんと三分話すほうが刺激になります。
迷いなく、やると決める。ただし、朝令朝改。
この「朝令朝改」という名の“柔軟性“が今の時代で勝ち残るには必要不可欠なんだと再認識しました。
僕はやると決めたら、迷いなくやります。やるべきなら、すぐ始めたほうがいい。指示は明確なほうだと思います。ただし、〝朝令朝改〟です。朝六時に言ったことが、二時間後に変わることもあります。
状況が変われば、行動も変えなきゃいけない。二時間前の自分の発言にとらわれて間違った判断をするなんて、あっちゃいけないことだと思います。「これが正しい」という〝絶対〟はどこにもない。自分の判断さえ、決めた瞬間から疑っています。
未経験でいい。自由な発想で、とにかくやる。
「知らないことが強み」と言える境地に早く辿り着けるよう、やるのみです。
「服を売るとはこういうもんだ」という先入観がないから、発想は自由。オリジナルの服をつくる企画でも、「素材は一種類だけ。カラー展開も三色に絞って、その代わり、サイズをいっぱい揃えよう」と、当時の業界の常識とは真逆に。一人の若いデザイナーや先輩たちと知恵を寄せ合った結果、大当たり。
「前例がない」ということは「なんでもあり」ということ。未経験は強みである。
人に頼むなら、信じて任せる。
信じれる相手なら、期待値以上のアウトプットが必ず返ってくると思うタイプです。任せ上手は優秀なリーダーの共通点であること間違いなし。
できたら褒める。できなかったら我慢する。こういう姿勢を貫かないと、人に任せることはいつまで経ってもできないと思います。すると、仕事を一人でたくさん抱えて、本当にやるべきことができなくなる。ちゃんと成果を出したいのなら、任せ上手にならないといけません。
一秒でも早くジャッジする。決断が社長の仕事。
即断即決するためには、著者のように若いうちから場数を踏まないとですね。自分も動きを止めない社長を目指したいです。
「こうしてみよう」「あれもやってみよう」といつでも提案できる人でなければ、社長とは言えないと僕は思う。
そして、大事なのは決断力。それもスピーディーな決断力。会社で働く皆が余裕を持って仕事を進めるためには、一秒でも早く、社長がジャッジしてあげることが大事。
こだわりを捨て、相手が求めるものを差し出す。
こだわり、見栄、プライドが捨てれる人は強い気がしてます。
僕はアジア、ヨーロッパ、アメリカといろんな国で店の仕事をやってきたけれど、すごく苦労したという思い出はない。一番大事なのは、こだわりを捨てること。
「日本らしくいこう」と戦略を固めて乗り込むんじゃなく、水が高いところから低いところへ流れるように、どんな形にでも変われるしなやかさを持つことが秘訣なんじゃないかと思います。
形あるものは残さない。形ないものをどれだけ残せるか。
つまりは記録より記憶に残るかということ。深いメッセージに考えさせられました。もっと精進していきます。
本当に残るのは〝形にならない思い〟です。例えば、子どもを叱ったとき。ただ叱るのではなくて、なぜこんなに叱るのかをしっかり伝える。部下に対してもそう。なぜこんなに厳しく言うのか、〝思い〟もセットで伝えないと残らない。形ないものをどれだけ残せるか。それがきっと、人としての力量というものです。
死ぬまで働き続けたい。自分を保つために。
「仕事は自分を保つために必要」という考えに全面同意です。働いてない自分は想像できません。
僕は仕事人間のつもりはないけれど、仕事をしなければ毎日はつまらないだろうなと思う。
自分をちゃんと保つため、毎日を楽しむために仕事は死ぬまで続けたいものです。
まとめ
世の中が複雑化する中で、” 正解にこだわらず自身の感性を大事にし、一瞬一瞬を夢中になって生きる ” という著者の生き方は、今後の生き方として1つの方向性を示唆しているように思えました。
色々熱く書きましたが、1人の男としての生き方がただただカッコ良いので、是非一度読んでみて欲しいです!
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