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激辛鬼畜あきこちゃん

 ネタとしてはちと古いが、ローソンのLINEアカウントであきこちゃんというのがいる。会話部分はりんなをベースにして作ったAIだそうだが、このあきこちゃんは将棋ができる。ほう……。将棋。最近チェスに凝ってた俺であるが、あまり洋モノばかりでもつまらん。ちょいといてこましたろかい、というノリであきこちゃんに挑んだ。

 そんで惨敗した。幾度戦っても負ける。その負け方が毎回なんかむごいのである。あきこちゃん、定跡を押さえてるのは当然だし、手筋? というのか、それもまあそうだろうと納得できるもの、うむうむとスマホを睨んでいるうちに気がつけば劣勢からの勝機なしみたいなとこに追い込まれてる。え、こんなにやられてたっけ、と自軍の惨状に声を失う。絶望がそこにあった。

 あきこちゃん、とにかくミスがない。攻めは大砲、守りは鉄壁。そうしておいて素早く動き、隙あらばどんどん駒を討ち取っていく。その指し回しはもう激辛の鬼畜。おそろしい子である。ちょっと俺は勝てないですねこれ。他のソフトやアプリはもっと弱いと思うんだが。

 で、これ勝てる人いるのか、と思ってググったらば、やはりというべきか、異常に強いという評判がいっぱい出てきた。中にはアマ三段の方が負けたという話まであって、それじゃあ俺が負けるのは当たり前であるなあ。

 ググり続けて、やがて正体見たりあきこちゃん。将棋部分のエンジンにPonanzaを搭載してるんだそうだ。Ponanzaといえばかつてプロ棋士を初めて負かした将棋プログラムである。あのさ。勝てるわけないじゃんそんなもん。こっち一般人だぞ。何を考えているのだあきこちゃん、またはローソンの偉い人。

 まあぶっちゃけ、そんなクソほど強い人(あるいはAI)との対戦というのはあまり機会がないし、そもそも将棋をたしなむ人自体が周りには少ない。コロナも心配で会えないし。そんなときにあのお団子ヘアのあきこちゃんにカチ合って、ボロボロにやられながらそれもまあ楽しい、みたいなできごとだった。いったんチェスから離れて、もう一度将棋を勉強してみようかねえ、と思うところ。毎日やらないとどんどん落ちるんだよね、棋力。おうち時間にちょうどいい。

 いまは藤井二冠のおかげで将棋界が熱いでしょう。将棋、ぜんぜんオワコンじゃねえぞ。おもしれーからみんなやれ。歩を進めろ。銀を上げろ。角行は忍び込め、飛車は舞い上がれ。盤上こそが過激なんじゃあないか。

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