両価性:したいけど、したくない
「福祉現場で役立つ動機づけ面接入門」No3
おはようございます。あたたかい朝ですね。
今日は、両価性のお話。動機づけ面接のキー概念だと勝手に思っていますし、心理カウンセリングのキー概念でもあると思います。
両価性(ambivalence)を理解する
まず、両価性とは、一つの状況に対して相反する気持ちや考えをもつこと、とされます。そしてこの気持ちを抱くのは普通のことと動機づけ面接では考えるのだそうです。
そうですよね。要は、程度の問題。目の前のケーキを「食べたい」と「太るから食べてはダメ」という程度のことから、「生きたい」と「死にたい」まで、全て両価性という言葉で括ることができます。
そして、この両価性が問題となるのは、周囲がその状態に陥った人をどう見るかということ。
両価性を抱えた人の見た目
上の絵にあるように、両価性を抱えた人に見た目は、やる気がないように見えることが多いと本書では述べられています。しかし、それは大きな誤解。心の中では、「やりたい」という気持ちと「やりたくない」という気持ちがせめぎ合っています。その力同士が均衡を保った時、いわゆる膠着状態になる。だから、周囲からは、何もしてないように見えるという訳です。
精神科で仕事をしていると、本当は仕事をしたいと思っていても動けず、家でダラダラしてしまっているという人の話をよく聴きます。そんな時、周囲の家族は、そして、支援者は、どうしても、「この人、やる気あるんだろうか?」と疑問に思ってしまいます。
動機づけ面接での捉え方
そこで、動機づけ面接では、そういった人たちを、「やる気がない人」ではなく、「両価性を抱えた人」と理解するといいます。その人の葛藤に目を向ける。そう理解することでクライエントに対する接し方が全く異なるといいます。
「やる気がない人」と捉えてしまうと、どうしても指示的な接し方をしてしまう。もちろん相手もそんな風に接したら抵抗したくなる。しかし、「両価性を抱えた人」と理解し、表面上見えない膠着状態をどのように“変わりたい”という方向にもっていくのか、そこに動機づけ面接のスキルが生かせるといいます。そして、この両価性は誰もが持ち得る心理特性であるので、動機づけ面接のスキルは、様々な対人関係に生かせる!!
動機づけ面接の実践者向け定義
動機づけ面接は、「変わりたいけど変わりたくない」という誰もが抱いている問題を扱う、来談者中心的なカウンセリングの面接である。
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