今さら聞けない医事廻りのこと vol.1 ~病院報告編~
こんにちは。ホワイトボックス(株)コンサルティング部の阿部です。
これまでいくつかマガジンをつくってきましたが、今回ちょっと新しいシリーズをはじめてみようと思います。
題して「今さら聞けない医事廻りのこと」。
病院や診療所の事務系管理職にも異業種から転職する方が増えています。こうしたなかで、実際に身近で受けた質問をベースに、医事廻りのことを取り上げてみたいと思います。
医事廻りといっても、レセプト(診療報酬請求)に関することだけでなく、事務領域として関わる事柄を取り上げていきたいと思っていますが、どちらかといえば専門的な内容になってしまうかもしれません。
ただ、医療関係者以外の人にも「病院ってこんなことやってるんだ」と広くしってもらえれば幸いです。
さて、そんなシリーズの第1回は「病院報告編」をお届けします。
▽病院報告とは
病院報告とは、厚労省が担当する政府一般統計の一種で、政府統計のポータルサイトe-Statでは、次のように紹介されています。
つまり、病院報告では全国の病院や診療所の数のほか、1日の平均在院数や入退院の数といった統計が毎月集計され、公表されています。
興味のある方は、下記の厚労省のサイトをご覧になってみてください。
▽実際のQ&A事例から
さて、今回いただいた質問は…
・外来患者の数に人間ドックなどの患者数は含むのか?
・ワクチン接種の患者はどう扱うのか?
…といった内容でした。
結論から言えば、外来患者数については次のような決まり事がされています。
なおカルテについては、保険診療はもちろん、自費診療の場合であっても作成しなければなりません。つまり上記の通知から解釈すれば、「人間ドックの患者もワクチン接種の患者も外来患者延べ数にカウントするのが適当」ということになります。
▽その他の留意事項
以下は少し余分な情報になりますが、”在院患者延べ数”の報告についても少し注意が必要です。というのも、在院患者延べ数については「毎日24時現在に在院していた患者の合計数を記入すること」になっているからです。
病院のベッドの動きを表現するにあたり、「稼働率」という言葉と「利用率」という言葉を使うことがあります。いずれも1つのベッドの稼働/利用状況を表す指標ですが、病院の場合、1日に1つのベッドを2人が通過するケースが少なからず発生します。
例えばある1つのベッドに対し、午前に患者さんが退院した後、午後そのベッドを使う患者さんが入院してきた、などといった場合です。
このような場合、主に民間病院で使用する「稼働率」表現の場合のカウントは「2」になりますが、市立病院等公的病院が使用する「利用率」表現は24時現在の患者をカウントするため、その数は「1」となることに留意が必要です。
病院報告における在院患者延べ数は、「24時現在の入院患者数」であることに注意する必要があります。
▽参考資料
…と、ここまで病院報告を記入するにあたっての留意事項を書いてきましたが、より詳細が知りたい方は以下のサイト「病院報告台帳の様式および病院報告記入要領および審査要領並びに病院報告台帳の一部改正について」を参照してください。
▽おわりに
仕事上、クライアント先をはじめ、いろんな方から医療や介護に関する素朴な疑問を受けることがあります。
これらの疑問に応える際には、なるべく根拠となる出所をもって回答差し上げるよう心掛けているのですが、せっかくのQ&Aをただ消費してしまうのに若干の勿体なさを感じていました。
私自身、「質問を受けて回答したら終わり」ということではなく、自分自身のためにも受けた質問に対する回答を何らかの形で残しておきたいと思い、このシリーズを始めることにしました。
記事が溜まってきたら、マガジンとしてまとめていきたいとも考えています。そのような訳で、他のマガジン同様、こちらのシリーズもお時間のある時に覗いていただければ幸いに思います。
2022.01.31 阿部 勇司
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?