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同一労働同一賃金の混乱

はじめに:

こんにちは。ホワイトボックス コンサルティング部の阿部です。

先日、「非正規の労働者が正規の労働者と同じ仕事をしているのにボーナスが支給されないのは不当だ」として、医科大学を訴えていた裁判で、最高裁は「不合理な格差とは言えない」として、地方裁判所の判決を翻す判決がくだされました。

あくまで個別のケースによる判断としたうえでのものという前提はあるものの、同一労働同一賃金の流れができつつあるなかでの今回の最高裁の判決は、少なからない混乱を現場にもたらすように感じます。


そもそも同一労働同一賃金ってなんだ?:

同一労働同一賃金は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を禁ずるもので、大企業では2020年4月~すでに適用され、中小企業でも2021年4月~の適用が示されています。これは病院や診療所といった医療機関でも同じことであり、”働き方改革”の重要なテーマの一つだと理解しています。

なぜ不合理な格差を是正しようとするかといえば、非正規雇用者の待遇を改善することで、勤労意欲を向上させ、先進国のなかで低い順位に甘んじていると言われている、日本の生産性向上に寄与しようという意図があることがいわれています。


どんな労働条件が対象になるか:

以前、私が編集しているメルマガのテーマ(以下貼付)でも取り上げたことがありましたが、労働契約法第20条では「同一使用者と労働契約を締結している、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させる」ことが禁止されています。



対象となる労働条件は、例えば・福利厚生・災害補償・教育訓練・交通手当等に関することがあげられており、これらについて、正規雇用者と非正規雇用者に違いがあれば、その違いを明確に説明できない限り、是正する必要が求められています。厚労省でも、同一労働同一賃金の特集ページをWEBサイト上で公開するなど、その普及に務めています。

厚労省のWEBサイトはコチラ↓


結局は現場が混乱する:

中小規模の病院や介護施設のマネージャークラスは、いろいろな業務を抱えており、近年目まぐるしく変わる制度になかなかついていけていないのが現状ではないかと理解しています。一方で、こうした問題は労働者である我々に直接かかわってくることだけに労働者側のほうが詳しかったりするので、施設マネージャークラスもこうしたことには基礎的な知識を備え、対応を検討することが、現場に余計なコンフリクト(衝突)を生まないためにも必要になってくるでしょう。


まとめ:

今回の最高裁が下した判決は、大きな波紋を広げています。かくいう私も、同一労賃に関する講義を聞いたときに、事例としてあがっていた案件の判決が覆されたことに、ちょっとした戸惑いを感じました。結局、こうした賃金給与に絡むセンシティブ(扱いに細心の注意をようする)な問題は、日ごろから「就業規則や賃金規程といった規程類を公開しておく」など透明性が担保されたうえで、お互いの信頼関係を築いていけているかどうかといったことが根本にあるようにも感じています。

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