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【お客様の言葉だけを信じてはいけない】セラピストは耳を澄ませ。息の根まで聞けば、ホントの要望がみえてくる。



リラクゼーションセラピストの仕事は、癒しを提供する事だ。 

だから、そのとき気持ち良ければそれでいい。
という考えもある。 

それは間違ってないと思う。 

でも、できれば、そのときの気持ち良さを楽しんで頂き、なおかつお客様が帰りの道中、(ずいぶん身体が楽になっているな)と喜んで頂けたら、リラクゼーションセラピストにとっても、このうえない喜びである。 

お客様も、次回の来店や指名を考えるときの、判断材料として下さるだろう。 

セラピストさんによっては、「そんなことはどうでもいい、一番大事なのは、生活の為に稼がなくてはならない金額が決まっているのだから、自分が掲げた目標施術時間を、いかにこなすかということだ。」という人もいるだろう。

そういうセラピストさんにとっては、お客様が楽になったかどうかはおろか、そのときの気持ち良さ、それすら課題にしない、という人もいるかもしれない。 

セラピストさんそれぞれの立場があるし、何に重きを置いてセラピストの活動をするかは自由だから、僕はそういう考えの人を否定しない。

僕自身、3人の子供がいる。子供と言っても、すでに全員【大人料金世代】になり、ますますお金はかかる。家のローンもある。

だから必死に数だけこなすセラピストさんがいたとしても、全然驚かない。

社会に貢献しながら、自分の大切な家族を守る事ということは、口で言うほど簡単ではない。

私事で恐縮だが、僕は約5年前にサロン内で指名数が1位になって以来、怪我のアクシデントで一度だけ2位になった以外は、毎月1位を守り続けている。指名数は多い時は100件を越えることもある。

セラピストとしては、お客様に喜んで頂けている証であるし、充実感もある。しかし、家庭の経済を支える立場としては、お客様満足度が高くても、生活が苦しくては…それはそれで問題がある。

だから僕は、家庭内において、セラピストとして充実していることを、あまり語れていない。これも、ありのままの僕だから仕方ない。

一方、満足度50%の接客、施術で、ギリギリの線でクレームをもらわないように、自分の気力、体力を上手に温存しながら施術時間を伸ばし、決して指名は頂けないが、売り上げだけは誰にも真似出来ない数字を叩き出しながら、家庭を守っているセラピストさんがいたとしたら…

それはもう立派な技術で、職人技だと、僕は本気でそう思うし尊敬に値する。

人それぞれ、活躍の場や、貢献できる事は違うのだ。どの生き方が正しいという事は無い、というのが今の僕の考えだ。

しかし長い目でみれば、数さえこなせれば良いというスタンスでセラピスト活動をするにしても、実際には、お客様に喜ばれ、自分自身の仕事にも充実感を感じながら施術できれば、自ずと「あと一人、もう一本!」という頑張る気持ちにも拍車が掛かる。 

結果的に、数をこなす為にもプラスになるだろうし、セラピストとしての評価があがれば、報酬のアップにつながったり、自営のサロンなら、料金を上げてもお客様に来てもらえて、少しは時間に余裕ができるかも知れない。

そんなわけで僕としては、気持ちよく、それでいて身体が楽になり、お客様に「明日からまた、頑張れそうです。」という言葉が自然と発せられるような施術を目指している。 

僕に限らず多くのリラクゼーションセラピストがそうではないだろうか。 

その為にセラピストの皆さんが、どんな努力をしているかと言えば、しっかりと筋肉をとらえ、気持ちの良い適切な圧を加える練習をしたり、解剖学を勉強して、筋肉同士がどのように連携しているかを研究したり、世界中のマッサージの手技や、理論を学んでみたり、上手い人を真似たり… 

そのような努力と平行して、施術の数も多くこなしているうちに、何かしらのコツのようなものを身につけていくのだろう。 何かひとつコツをつかむたび、施術は面白くなるし、お客様にも喜ばれる。 

しかし、勉強すればする程、奥の深さを思い知らされる。 

そして同時に、これまでやってきた自分自身の施術に対する考え方について、「本当にこれで、良かったのだろうか?」と迷いすら出てきたりする事もあったりする。 

お客様が気持ち良さを、味わってくれているのか?  

この施術で、気持ち良いだけでなく、実際に身体が楽になってくれているのか? 


この様な、お客様がどう感じているのか?
リラックス出来ているのか?という事が、まだよく分からない初心者のセラピストさんは多いだろう。

逆に、色々経験してきたからこそ、考え過ぎたり、迷いが出てきたセラピストさんもたくさんいると思う。

筋肉が緩んだ感触や、全身の張りが取れてきた感触が、施術をしながら【手】で分かるようになるまでには、僕もだいぶ時間がかかった。 

また、今でも、お客様のタイプによっては、長年僕を指名して下さっているにも関わらず、施術をして、解れたり緩んだ感覚が分かりにくいお身体のお客様もいる。 

全然、緩んだ感じが僕の手には伝わってこないのに、やけに、「楽になった!」と喜んで下さるお客様には、かえって戸惑う事もある。 

しかしどうだろう、目指すところは、施術するセラピストが、お客様の筋肉が柔らかく緩んだり、ほぐれたりした感覚を感じとって、喜ぶ事ではないはずだ。 

実際、僕が客として、施術を受ける時に感じることで、こんな事がある。あなたが施術を受ける時はどうだろう。一緒に思い出しながら考えて欲しい。それは… 

客である僕やあなたが、内心(もう少しそこは、グッと押し込んで欲しいんだけどな…)とか、(もう少し右なんだけどな…なかなか、今日やってもらいたかったポイントに来ないな…スッキリしないな。)と思いながら、もどかしい気持ちで施術を受けている最中の事。 

セラピストさんに「だいぶホグれましね」などと嬉しそうに言われた時だ。 

こちらの不完全燃焼な感覚と、セラピストさんの満足感に、大きなギャップを感じて、(今日の施術はこれ以上は望めないかな…)と絶望的な気持ちになる、という事。ないだろうか?


また、以前あるセラピストさんが「実際には緩んだ感覚が分からなくても、ハッタリでもいいから「緩みましたね!」とお客様に声を掛けてあげる事で、お客様に、そう感じさせる事が出来るものよ。」と言っていたのを聞いたことがある。 

この言いぶんを僕は、完全には否定しない… 

しかしこれが通用するには、ある程度条件が整っている必要がある、と僕は思っている。 

それは、お客様が、ある程度鈍感な方で、施術によって楽になったかどうか?緩んだ感じがするのかどうか?それらの感覚が、ご自分では分からないような人であるという事。 

そのようなお客様が、セラピストのハッタリを聞かされると(あっ、そうなんだ!セラピストさんが言うんだから、そうなんだろう…、よく分かんないけど、緩んだのなら、良かった良かった…)となるケースもよくある。 

であるから、お客様がそのセラピストの言葉を聞いて、気分が楽になったり、安心して身体も楽になったような気がしたのなら、そのハッタリも決して悪いとは僕は思わない。 

しかし、これとてやはり、セラピストの一方的な満足感では、意味が無いのである。 

たとえセラピストが、緩んだ感覚を感じる事ができずに、ハッタリを言うにしても、せめて、そのハッタリが、結果的にお客様を喜ばせる事ができる状況なのかどうかを、見極める力は必要になってくるだろう。 

その見極めが無く、誰にでも必ず【ハッタリ戦法】を使っていれば、分かるお客様には【ハッタリ】だと分かってしまう。分かってしまうだけならよいが、なにより、不快な思いをさせてしまうおそれがある。 

そうなると、かなりイタいセラピストになってしまうだろう。 

では、どうすればいいのか? 

お客様の呼吸を観察しよう 

世の中には、様々な呼吸法に関する情報がたくさん溢れている。自分自身の、心や身体を整えるための呼吸法は、それらを参考にすると良いと思う。色々なお客様に接する上で、お客様に振り回されず、呼吸で自分自身をコントロールできる事は、セラピストとして強みになるだろうから。 

誰でも、心身の状態は、無意識にでも呼吸の様子に表れる。 

例えば、嫌な事があれば、心臓がドキドキして、呼吸もハアハアと浅くなったりする。 

逆に、リラックスして穏やかな時は、ゆったりと深い呼吸になったりもする。 

逆に言えば、呼吸を意識する事で、自分がなりたい心身の状態に近づける事が出来るのだろう。 

自分自身をコントロールする呼吸法は、様々ある有益な情報にお任せするとして…。 

この記事では、そんな、呼吸に着目すればリアクションに乏しいお客様や、ガチガチ過ぎて解れたのか、柔らかくなったのか見分けがつかない身体の持ち主のお客様が相手でも、ある程度、自分の施術がお客様に効いているかどうか?喜んで頂けているかどうか?の目安にする事が出来るよ、という事をお伝えしたかった。 

お客様の言葉を信じてはいけない? 

お客様に言葉で「お力加減はいかがですか?」と尋ねることは大事だ。 

室温が暑かったり、寒かったりしていないか等も、僕はうるさくない程度に、だがマメに尋ねるようにしている。施術開始当初に一度お客様のOKをもらっただけでは、やはり不充分だろう。 

では、尋ねて返事を頂けたら安心だろうか? 

僕は、その返事の【言葉】をそのまま信じていては、折角マメに声をかけた事の意味が、半減してしまうと思っている。 

例えば「大丈夫で~す」とお客様が言う。  

そこで、すかさず聞いてみる。 

「これで、ちょうど良いくらいですか?」 

「はい、ちょうど良いです。」と言ってくだされば、まあ良しとして、「じゃあ、もう少し強めで…」と言われる事は普通にある。 

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