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レッスンの記録#3「好きなものを集めたジャケット〜それから〜」
2021年もあと少しというところで仕上がった【好きなものを集めたジャケット】の生徒から、嬉しいお便りが届きました。
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そのジャケットがどんな女性の手から出来上がったのか、以前にも書きましたが、今回のお便りは、ご本人からの制作途中の想いを綴ったものでした。
ジャケットの一部の素材はすでに手にしていたものの、合わせる生地やボタンを探しに大阪まで行ったこと。地図を見ながら知らない土地へ行くのは苦手だったはずなのに、合わせたい生地を片手に必死にお店を巡り、ひとりだから時間気にせずに悩んだり、何度も考えたり、ひとりだからできる」快感も味わったとか。
手に入れた素材には刺し子をすることを思いついたが、いい図案を思いつくまでに時間がかかったこと。意外にも甥っ子姪っ子と遊ぶ中で閃いたこと。
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最後のさいごに、先生の意見が心配だったこと。見てもらって安心して「やりたいようにやっていいのだ」と思ったこと。
難しいところだらけで、半分をレッスンで先生と仕上げて、半分を家でひとりでやってもなかなか上手くいかず、それでも諦めずに仕上げて次のレッスンに望んだこと。「なんで先生のようにアイロンが上手くいかないのだろう」とか。
毎月会っていても、おしゃべりでない彼女は本当は、そんな風に感じていたのだとわかって、改めて嬉しく思っていたのでした。
最後の言葉も仕上げたからこその言葉。
こんなに長い間、同じ気持ちで大事に作ったジャケットは、これからの私の人生にとって、大切なものです。ずっと大切に着ます。どこから見てもお気に入り。こんな服を作れて幸せです。
195の個人レッスンは、教師が作るものでも、生徒だけが作るものでもなく、ふたりの想いと時間と挑戦の気持ちが作り上げるもので、本人達にしかわからない学び。自分で選んだ挑戦をカタチにしていくことの先に、どれだけの視野の広さがあるのかと思うと、もっともっと続けていきたいと思うのです。生徒の挑戦にいつも敬意を払っています。