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中小企業のブランディングは、人を起点にする

スタバの女性パートナーの一言がうれしかった

出張のために東京駅にいた。少し早めに着いたのは、スターバックスコーヒー(以下スタバ)に立ち寄るためだ。カフェラテが好みなので、その日も注文しようとしたときに、女性パートナー(従業員)がこう語りかけてきた。

「素敵なメガネですね」・・一瞬、何のことのかわからなかった。僕のメガネのことだとわかると、照れ臭かったせいもあり、「どうも」という気のない返事を返した。でも、内心はとてもうれしかった(単純なのです)。

スタバのミッションにはこう書かれている。「この一杯から広がる心かよわせる瞬間 それぞれのコミュニティーとともにー 人と人とのつながりが生み出す無限の可能性を信じ、育みます」(HPより)。

5つの経営資源は「人」によって生み出される

 確信していることがある。それは中小企業のブランディングは「人が起点」である。大企業のメディアを中心としたクリエイティブによるブランディングとは一線を画している。これは中小企業にはお勧めできない。

クリエイティブによって生み出されるイメージを使ったブランディングには多くの資金が必要だからだ。企業の経営資源は「ヒト、モノ、カネ、情報、時間、知的財産」の6つといわれるが、中小企業はどれも限られている。

しかし、ヒト以外の「モノ、カネ、情報、時間、知的財産」の5つは、その規模とは関係なく、すべて「人」によって生み出されている。資源が限られている中小企業は、「人」を起点にしたブランディングを展開すべきなのだ。

あの会社の人たちがつくりだす世界が好き

1971 年の創業以来、右肩上がりの業績だったスタバにしても、2006 年から業績が悪化し、翌年には株価が42%下落し、危機に陥った。成長と拡大を目指し、10年間で1000 店舗から13000 店舗に増やしたツケは大きかった。

それでも社内で価値観を共有し続けたことで業績は徐々に回復していった(恐ろしく手間がかかることだ)。中小企業とスターバックスのブランディングを同じように考えることはどうだろう、という意見もあるかもしれない。

しかし、スタバのファンは「人と人が生み出すコミュニティの心地よさ」に魅力を感じているように思う。中小企業も同様だ。ファンが生まれる理由は「あの会社の人たちがつくりだす世界が好き」だからではないだろうか。

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