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成果は必ずしも努力には比例しないが、覚悟には比例する
ある若手の経営者の話から感じたこと
ある若手の経営者から創業時のことをお聞きしました。創業間もないころは人材確保が難しいのが普通です。女性社員がほとんどの同社も、辞められては困ると思い、社員の好きなように現場を任せていたのだそうです。
しかし、業績は悪化していく一方です。任せている社員との意思の疎通も思うようにいきません。「このままではつぶれてしまう」と思ったその方は、格好をつけずに、自らの言葉で社員にやってほしいことを伝えたのです。
「必ずよくなる」という強い思いだけはあった
当然、社員からは戸惑いと反発が返ってきました。社員とのミーティングを考えただけで具合が悪くなったそうです。しかし「必ず会社はよくなる」という強い思いがありました。それが社員に伝わっていなかったのです。
業績はさらに悪化し、もう後がありません。それでも、いいと思うことを本気になって伝え続け、自分自身の行動も変えました。しばらくすると、少しずつ変化が現れました。現場が変わり始め、業績が上向いていったのです。
後がない状況で試されるのが、経営者の覚悟です
誰に教えていただいたのか忘れましたが、こんな言葉があります。「成果は必ずしも努力には比例しないが、覚悟には比例する」・・先ほどの経営者の話しはまさにこれです。瀬戸際になって初めて、覚悟が決まったのです。
口先だけで言っているのと、覚悟を決めて本気で言っているのでは、聞き手に伝わる思いの熱量が違います。上に立つ人の覚悟が、考える力や行動力へと姿を変え、周囲を動かし、結果につながっていくのだと思います。
後がない状況で試されるのが、経営者の覚悟
「向かってくるさまざまな困難から逃げずに、真正面から受け止めて、それを跳ね返す力」、これが覚悟だと思います。精神論のように聞こえるかもしれませんが、もう後がない状況で試されるのが、経営者の覚悟です。
若手の経営者は「もう終わったかな」と何度も思ったそうです。親から出資してもらい、事業を始めた頃は、頭では経営をわかっていたのでしょうが、本当に自分のものにはなっていなかったと実感を込めて語っていました。
それでも覚悟を決めるしかありません
「初めに苦労されてよかったですね」と伝えると、頷きながら「心底そう思います」と返してくれました。覚悟というのは、実際に経験してみないとわかりません。それを早いうちに経験されたのは、かけがえがないことです。
「成果は必ずしも努力に比例しないが、覚悟には比例する」は、努力を否定しているのではありません。覚悟があれば努力は報われるはずですが、必ずそうとはいえないのが世の中です。それでも覚悟を決めるしかありませんね。