中小企業でもできるイノベーション人材を育てるための10%の革新法
イノベーションの本来の意味は、「新しいこと=革新」です
「イノベーション が大事」「イノベーションを起こそう」など、「イノベーション」という言葉はかなり日常的に使われます。日本では「技術革新」と訳されがちですが、それだけでは少々窮屈な意味になってしまいます。
「イノベーション(innovation)」は、「イノベート(innovate)」という動詞の名詞形です。「イノベート」の語源はラテン語の「インノバー(innovare)」であり、「in(~の方へ)」と「nova(新しい)」という単語が入っています。
つまり「イン・ノバーレ」は、「新しい方へ向かって」、「何かを新しく変える」の意味を持っています。「イノベーション」は、経営全般における「新しいこと=革新」と考えるのが自然ですね。
求められているのは、新たな価値を生み出せる「人材」です
イノベーションの焦点は企業ごとに異なります。取り組む課題は山積みですが、イノベーションの創出に必要なのは「人材」です。既存の考えを打ち破り、新たな価値を生み出せるイノベーション人材が不可欠です。
ところが、中小企業から聞こえてくるのは、「人材の確保が難しい」「採用してもすぐに辞めてしまう」「人材が育たない」という声です。取引先でも人材難がひたひたと押し寄せてきているのを感じます。
人材難のなかでイノベーション人材を確保しようとしても、知名度が低い中小企業は就職先の候補としては選ばれにくいのも事実です。ならば、既存社員をイノベーション思考に変えていくしかありません。
1に1.1を掛け続け、365日を経過するとどうなるのか?
4年に一度の閏(うるう)年は別として、どの企業にとっても1年間は365 日。昨年と同じことを繰り返すと「365×1=365」で、何ら変化はありません。しかし、1ではなく「1.1」を掛け算し続けるとどうなるでしょうか。
1日目は1ですが、2日目は1.1になったものに1.1を掛けるので1.21です。これを365日繰り返すと401.5になります。何かを10%ずつ変えていくことで「36.5」に増加するのです。10%の変化は恐るべしですね。
イノベーション人材を育てるために、この10%の革新を人材に当てはめるとどうなるでしょうか。例えば、「1日1改善運動」を行っている会社があります。仕事の終わりに必ず一つの改善案を提出するのが社内の約束です。
日々の小さな改善で課題の発見と解決のアイディアを育む
1日1改善運動を始める前に、まずは経営者自らが期間を決めて取り組んでみてください。仕事の現場を見る目が違ってくるはずです。イノベーション は、小さなことの積み上げの先にあることが実感できます。
そうは言っても、イノベーションと改善は異なるという声が聞こえそうですが、課題の発見と解決のアイディアを育むことが目的です。イノベーションは課題がなければ発動しません。解決はアイディアの質量から生まれます。
課題発見と解決創出の下地ができてくると、仕事が自分ごとに変わります。主体的な学習が始まります。現場に権限を委譲することで、さまざまなトライが生まれてきます。こうなるとイノベーションに拍車がかかります。