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時間を忘れて読み切った『ザリガニの鳴くところ』
このところ細かい文字を読むのが少々難儀しています。Macを1日触っていると、夕方には眼薬をささずにはいられない。この歳になると仕方ないね。
それでも、この本を日曜日の朝から読み始め、夜10時ごろに読み終えました。およそ500ページ、ぐいぐいと引き込まれましたね。久しぶりに集中して本と向き合った一日でした。
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ネタバレになるので細かくは書きませんが、物語は1969年にノースカロライナ州の湿地で男性の死体が発見されたところから始まります。こう書くとミステリーと思うかもしれませんが、ミステリーとはちょっと肌合いが違う。
6歳で家族に見捨てられ、湿地帯で暮らすカイアという女性が主人公。孤独のなかで生き抜いた65年間の彼女の姿を描いた作品です。
恋愛が絡んだ人物設定もいいのですが、何といっても湿地帯や海辺の植物や生き物の描写が素晴らしいのです。自然はカイアの友人であり、先生であり、家族でもあります。ある意味ではこの本は自然が主役かもしれません。
作者のオーエンズさんは動物学者でボツワナのカラハリ砂漠でフィールドワークを行ない、その経験に基づいたノンフィクションも発表しています。まあ、自然界の出来事については筋金入りの学者ということですね。
オーエンズさんが本書を出版したのは69歳のとき、同年代としては勇気づけられます。これからも書き続けるそうです。楽しみだなあ。
全世界で2200万部を突破し、2019年・2020年と2年連続でアメリカで一番売れただけあって、2022年に映画化されました。まだ観ていませんが、先に本を読むことをお勧めします(勘のようなものですが、結構当たります)。
読み終えて感じるのは「おもしろいものは人を惹きつける」ということ。仕事も経営もそうですが、おもしろいのが一番です。おもしろいものを探すのではなく「いま目の前にあるものをおもしろくする」ことですね。