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草・木・花

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2019年7月の記事一覧

珈琲店にて

貴女が微笑んで
小首を傾げると
テーブル脇の
棚に置かれた
一輪挿しの水引草が
その髪にかかる

すぅーっと二本
きらめいてそれは
簪のよう

まだ間もない
二人の会話が
水引草に沿われるように
澪標を伝い
滑っていく

ときおり
ちらちらと
揺曳する
細かな紅に
照らされたりしながら

こたえて

こたえて
くれなくて
いいんだ
ただ そこに
いてくれるだけで

わかってほしい
だけど
かんたんにわかるよと
いってほしく
ないんだ

ただ そこにいて
いてくれるだけで
いいんだ
木がそこにあるように

涼しい目もと
という表現の適格さを
あなたに逢って
初めて知った
翳つくる長い睫毛
見つめられるたび
風が渡る僕の草原
見晴るかす遥か
うねる波
緑の光がきらめいて
どこまでも続く