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【読書感想文】カフカふかふか
ドイツ文学?
ユダヤ?
ご興味あれば導入にまずこちらを。
しかもカフカは20世紀の作者であるから、時代背景が割と理解しやすい。
著者は心理学専攻からドイツ文学へ転向。手あたり次第に読んでいるうちにカフカの作品に出会ったが、あまりの訳のわからなさにカフカを専門に扱うことになったとか。
つまりわからなくていいのである。
私は高校時代ヘッセに埋没した。あの「荒野のおおかみ」「クヌルプ」「シッダールタ」などなどかっこいいネーミングと、自分という訳のわからないものへの直球な探究心は青い自我探究欲求を満たしてくれた。
カフカはどうやらその探究心にグッと捻りを加え、ユダヤ人としての自覚とか、親とのジェネレーションギャップによる感覚の違いみたいなものを擬人や、客観や、派手な比喩を使って、小説に仕上げている・・・らしい。
本は実に軽快に、饒舌にカフカのどこが難解で、非常識で、ぶっ壊しなのか楽しく語っている。同じ小説を、視点ごとに分けた章で何度も取り上げ、きっとそれを手にした時、どこに注目すべきか簡便にわかるようにできている。
そしてカフカが『書く人』として新しいものを作り出そうとしている痕跡を取り上げて解説しているところ、とても面白い。これを読んで、芥川龍之介がいろんな技法によって実験的な小説を生み出してきたことを思い出した。
Du, Sieの使い分けによる作者の意図みたいのは、芥川が職業や属性によって話し言葉を精密に書き分けたのにも似ている。
とにかく、敷居が高かったカフカの作品をぐんと身近にしてくれる、ガイドブックであるってこと間違いなし!
※【読書感想文】はこの本のポイントかつエッセンスの私的な背景を含んだ記録。決して『お薦めリスト』ではないことにご留意ください。