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不文律で語られていったテクニクス憲法とは
✅テクニクスにおけるオーディオ考
原音忠実再生をコンセプトに推進された。
テクニクスは ヨーロッパでは、 ベンツ、テクニクス、 ダンヒルといわれ
愛され圧倒的にテクニクスブランドは支持されていた。
高級品 高品質感はイメージとしてある所得層に深く定着していた。
これは、 技術者が頑なに、 源音忠実再生のために熱意と誠意を注ぎ、 技術と理論を崩さなかったからだと考える。 又、企画、 営業もマーケットで占める割合も少ないが、 オーダーの厳しい、いわゆるマニア向けの商品開発に余念がなかったからだと思う。 デザインも企画、 技術、営業と同じアイデンティティをもち、 共通言語をもって、熱意と誠意が続けられたからだと認識している
以前にも書きましたが、
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✅特殊な背景にあったテクニクス
テクニクスは、 松下電器の事業としては特殊な事業部であった。
National Panasonicといったブランドがあるにもかかわらず、
1. テクニクスという別のブランドを持つ事業部であった。
2. そして高級品のみを作るメーカーでもあった。
3. 少数のマニアのためにも商品開発をしてきた。
4. オーディオ評論家と称する先生方の活躍する場でもあった。その様な背景の中での開発は、 創造を絶する問題が多くあった。
✅増井フィロソフィが語る理念
当時の増井事業部長の哲学でもあるが、技術者が源音忠実再生、高品質商品を創るといっても、各メーカ求める物は同じであり、音響技術は学会で情報の交流もあるのでメーカー間で差異のない。音が良いというだけでは生き残れない。 しかもテクニクスは後発メーカーである。テクニクスが世界のNo1になるためには、他社との差別化をしなければならない。
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✅商品の価値化とは
ユーザーはステレオシステムに何を求めるのか。 ライフスタイルを大切にするマニアの感性に訴える独自の品質とデザイン、そして個性的な商品なのである。 事業部の全員の英知の活用で統合的に創意に活かし、それを創り出すのがデザイナーであり、技術者であると素晴らしい考えを聴いた。
テクニクスは、音、操作性、マニア観等から創造できる商品を基本的にモノづくりと捉えていた。また、顧客の持つ喜びを商品化することが基本的なゴールであると私は認識していた。
そのためにデザイナー、技術者が一枚岩となっての共創を繰り返すことで本物を作り込んでいくプロセスを大切にしていた。
このコミュニケーションの中からプロセスイノベーションが生れてきたのであると私は考えている。
そして、 テクニクス憲法と呼ばれる項目が不文律であるはあるが、暗黙のうちに語られていったこともそのプロセスイノベーションの確認事項と捉え、不足、不備をリファインしてきた暗黙知の基準であり、行動指針でもあった。
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✅テクニクス憲法はデザインマネジメント
1. 本物であること。
2. 独創性があること。(特許的な考え新規性)
3.個性的である。(意匠的な考え認知性)
4. 商品内容が表現されていること。(アフォーダンス)
5.マニア的であること。
6.簡潔である。(整理・目的・意味性が見えないとき等に言った。)
7. 素材の表現は十分であること。
8. 一目で商品が理解できること。
9. システム性があること。
10. 使いやすいこと。
11.サイズ (目的と環境などの関係性から)
ミースが言う「Less is More」とは「少ない方が豊かである」という意味である。シンプルなデザインを追求することによって、より美しく整理された表現が生まれる。そして、思いを伝えるために解り易く『シンプル イズ ベスト』を標語のように発言し商品開発を行なっていた。
これらのテクニクス憲法は顧客目線での良い商品を創るためには、 目標を卓越した行動に結びつけて、目標は熟成するまで繰り返し実行する。つくる側の満足する基準まで上げて商品化することである。
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それは、高級品、マニア、評論家というオーディオモノづくりの環境がそうさせてと考えていた。非常に良い結果を産むプロセスとなったことは間違いない考えている。
反面、これらの項目は、技術者やデザイナーを苦しめるものとなった。 気持を抜くことは出来ず、 商品と開発している時は真剣そのものであったが、ある種の快感も得ていたことは間違いない。
商品を購入する人は、これらのプロセスは知る必要もないが、作られた商品の価格を単に見かけだけで判断する。 しかし、テクニクスの商品は、これらの問題を解決した品質の高い商品であるために、 それは長く持っても「あき」のこない品格をもった商品、言い換えれば「細部こだわり抜いた商品」であることに威信をかけていた。
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11項目のテクニクス憲法はモノづくりのチェックリストであるように、商品化することは起案から廃棄までトータルに考察しものづくりするためのデザインマネージメントでもある。
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✅商品づくりの意義性とは
筆者の役割、インダストリアルデザインとは、商品を作る道理において研究開発からマーケティング・アドバタイジング・セールスなどのすべてのプロセスにおいてデザインすることであると捉えている。
商品開発する時、重要なのは、1.生活研究、2.品質、3.サービス、4.セールスである。ユーザーの使い方、 楽しみ方を研究し、『製品ではなく商品を作ること』と言う考え方だ、それらをどのようにマネジメントするかであった。
第1番目は企業の未来を想定したいのであれば確かな生活研究をすることだ。
商品は、企業の競争のためにあるのではなく。又技術者のための製品を作るのでもなく。又デザイナーはデザインのためのデザインをすることは意味性はないと考えていた。(個人的意見だが、現在は世論の風潮はこの考えと異なる状況だ。)
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第2番目は品質とコストを把握することである。
商品の価値は、トラブルが起きた時の内容で企業価値や資質・技術能力などが読める。一流企業か、二流企業かがわかる。
プロダクトアイデンティティ(PI)構築にはこの問題を正しく捉えなければならない重要な事項と考えていた。
デザインする時に以前の知的情報をよく理解して 品質管理などの管理システム、企業のサービスシステムの問題を把握して構築しているかなども反映していく行為も必要であると捉えていた。
又、何故トラブルが起きた対策方法や事後処理の把握はデザインマネージメントとして捉えなければならない。次の商品解決に役立つから情報は得ていた。
第3番目は事業のセンサーはセールスマンである。
良い商品はセールス担当も売りやすい。また 商品が自分でセールスするのである。
セールスマンは何が良いか悪いかを明確に問題を把握することである。鋭い感覚を持ったセールスマンは市場の声を的確にフィートバックする。
事業のセンサーでもある。ここをマネジメントするプロセスシステムは一流企業の礎となる。であるのでインダストリアルデザインの一過程であると同時にデザインマネージメントでもある。
✅ある意味、この『商品づくりの意義性』で記載したことが、商品づくりまとめとなるのではないか。
目標は卓越した行動に結びついている必要がある。
目標は習慣になるまで繰り返し実行しなければならない。
目標は成し遂げて初めて価値化するのである。
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テクニクスについてはこれで完了いたします。
次は、独立し 設立したアイ・シ-・アイデザイン研究所の形跡をまとめたいと思いますので宜しくご支援お願い申し上げます。