読書感想文講座(脱線編)
はい、全然好評なんて話を聞かない読書感想文講座も3回目。
いやもう講座じゃなくて、感想文雑談みたいなもんですが、今回もつらつらと書いていきましょう。
で、今回話題にしたいのは「誉め言葉」
小中学生…いや高校生くらいまでのみなさんは、「誉め言葉」ってどれぐらいバリエーションを持っていますか?
好きな音楽、好きなスポーツ、好きな人、なんでもいいです。自分が好ましいと思うことやものを、他人に紹介するときに使う言葉って、本来たくさんあるんですよね。
しかしながら、現在、誉め言葉って実は絶滅危惧種に指定されそうなぐらい、使われなくなっているんですよ。
なので、読書感想文で、
【この文(話)のどういうところが、どのように心地よく感じたか】
というのを、改めて自分の頭で考えた自分の言葉で表現することって、すごく大事なことなんです。
これね、誉め言葉が書けない人って、どうするかというと、すぐに比較文にしちゃうんですね。
「〇〇は▲▲とちがってわかりやすい」
「〇〇は▲▲より面白い」
いるでしょ? 好きなものを褒めるのに、嫌いなものや、そのライバル関係にあるものを貶す表現をするやつ。
ネットなんかそんなのばかりですよ(苦笑)。
読書感想文でも、たまにこの手の書き方をする人がいるんですが、絶対に避けましょうね。
で、どうしてそうなっちゃうか……つまり誉め言葉のバリエーションが減り、罵倒や貶しや皮肉めいた言い方が増えてしまう原因は何かと考えると、「自分の意見や考えを不特定多数の他人に伝えること」に不安やリスクを感じてしまう程度に、自分自身の考えに自信が持てないからなんです。
アイドルヲタでもいるんですよ。
「ねぇ、乃木坂って誰が人気あるの? ああ、▽▽ちゃん。じゃあそれ推すわ」ってやつ。で、そんなやつに限って、握手会などで完売がでなかったり、アンダーが長いメンバーとそのファンに対して「不人気の癖に」とかいってマウントとるのね(笑)。
こういうのを、絶対的評価と相対的評価っていうんですけど、自分の物差しをもっていて、自分の考えに責任を持てる人は、周囲から何を言われようと、「でも俺はこういうところが好き」って言えるんです。
でも、周囲や世論を見ながら、人気のあるほう、支持の高いほう、ようするに勝ち馬にのる人ってのは、自分がその対象の何をどう好きなのかって言えないから、他の人を貶して喜ぶしかないんですわ。
で、読書感想文の話に戻すと、課題図書でも自分で選んだ本でもいいんですけど、自分の中で「絶対的に評価できるところ」を見つけてほしいと思います。
別に盲目的に擁護しろというわけではありません。「みんなが褒めるけど、私は評価できない」主人公がいるのであれば、自分が評価できるところを責任もって訴えていけばいい。
自分の言葉に責任を持つこと。
そのために、言葉をもっと自由自在に自分のものとして使えるようになること。
そのための最高の練習が「読書感想文」であり「作文」なのです。
ちなみに、余談というか、どうでもいい話なんですが、私が中学時代に衝撃を受けた詩…歌詞があります。
「衣笠の古寺の侘助椿の 華やかに散りぬるも 陽に映えて
その人の前髪 わずかにかすめながら 水面へと身を投げる…」
さだまさしさんの『春告鳥』という曲の歌詞なんですけど、当時の小学生か中学生の私には、意味不明ながら言葉の響きの美しさと旋律、そして繊細ながら力強さもあるさだまさしさんの声の説得力に圧倒されて、わけもなく涙が止まらなくなったんですよね。
この詩を書いたときのさだまさしさん、おそらくまだ20代だったと思います。
こういう文章を書けるようになりたいですねえ。