2023個人的ベスト10選【中編】

皆様おはようございます、こんにちは、こんばんは!
昨年は積みゲ崩しが年間目標だったので色々我慢していたのもあって、この2か月で当初思っていた以上に色々購入してしまった18toyaこと冬夜です 笑

いやーもちろん一番大事なのは遊ぶことなんですけどね。
市場から消えちゃったら困るよねぇ…とか色々考えちゃって気付いたらポチってた、とかね。これ、ボードゲーマーあるあるですよね^^;

さて、本日は前回の個人的ベスト10選の続きです。
前回は軽量、軽中量まで挙げたので、今回は中量級の紹介になります。

ちなみに昨年の年間目標が積みゲ崩しだったこと、今回紹介するゲームたちは時間が少しかかるゲームたちなこともあってレビューを書くために十分な試行回数をこなせた訳ではありません。
そのため、今回の記事はレビューではなく、インプレッションやプレイレポートのようなものと捉えてもらえれば幸いです。

中量級:2本

人によってどれぐらいのルール負担や時間を中量級と呼ぶかは実は厳密に決まっている訳ではありませんが、ここでは以下のように定義してみます。

『軽量や軽中量ほど「誰でも」「すぐに」遊べるとまでは言えないが、「もう少し本格的なゲームを遊んでみたいなぁ」と思った人の入口にもなりながら、同時にゲーマーでも十分楽しめるゲーム帯』

つまり、非常に幅広い層に訴求力がある、使い勝手の良いゲーム達がこの中量級に分類されると考えます。個人的には使いやすいこのクラスのゲームを今後もっと掘り下げていければなぁ、と思っています^^

さて、そんな中量級の2023わたしベストは以下のとおり。
・ベガスロイヤル
・ミルフィオリ

ベガスロイヤル

インスト込み1時間〜1時間半程度。

完全日本語版は出ておらず日本語「訳」がついたものが国内で流通しているため、タイトルは若干表記揺れがある(ラスベガスロイヤル、ベガス:ロイヤル等)。検索等の時はご注意を。英語表記は「Las Vegas Royale」。
ドイツ年間ゲーム大賞受賞作である名作・イスタンブール等を作ったリュディガー・ドーン氏の作品。

本作は過去に出ていた「ベガス」というゲームの後継版。サイコロを使う、いわゆる「ダイスゲーム」だ。

サラッとルールを説明すると、各プレイヤーは7個のダイスを持ち、自分の手番には持っているダイスを全て振る。振ったダイスのうち出た1種類の目を選び、その目のカジノに指定した目のダイスを全て置いて次の人の手番に回す。

これを全員が繰り返し、全員が手持ちダイスを全て使い切ったら各カジノで「誰が一番たくさんダイスを置いているか」を確認する。最多の人は、カジノに割り振られた報酬のうち高い方の報酬を受け取り、二位の人が低い方の報酬を受け取る。それ以外の人はそのカジノから報酬を得ることはできない。

以上を3ラウンド繰り返し、最もお金を稼いだ人がゲームに勝利する。

と、ゲームの根っこは非常にシンプルである。しかしシンプルゆえにボドゲの経験が浅めの人でもゲームの要点を比較的早く掴むことができ、すぐに醍醐味に没入することが出来る。

本作の醍醐味とは多数派争いバッティング、つまり最多数を取りたいのに他の人と同じ個数のサイコロを置いてしまった場合、順位には数えられず無視される仕組みだ。

いかに沢山サイコロを置いたとしても、他の人と置いた個数が被ってしまったら1位は取れない…それどころか置いたサイコロが無駄になる。これは2位狙いでも同じことだ。

例えば「最初に6の目が3個、5、4が2個、2」という目が出たとする。基本的に目が高い場所には高額報酬が置かれることが多く、6の目で1位を取れれば美味しい思いをできる可能性が高い。従って6の目の3個を一気に6に置きたいという気持ちもある。

ただ、そうなると次に振れるダイスの数は4個に減ってしまい他の場所での最多争いは厳しくなるだろうし、他の人がどんな意図でどの場所にダイスを置くかを見届けたい。見届けてから、自分が有利になる場所にダイスを置きたい。

そうなると4の2個置きあたりから始めるか?いや5の方が高額を稼げるから5に1個置きして更に他の人の様子を見るか?2は旨みが薄い分競争は楽か?

バッティングのことも考えないとならない…となるとやはりその後の競争を一気に楽にするために6に3個置きが正着か?

…などなどをブワーッと考える。ある場所にダイスを置くのはもちろんその場所での最多争いで自分の有利に繋がるが、一方で他の場所を不利にする事でもある。

こうしたゲームの流れはボードゲーム自体への慣れもさることながら駆け引き、心理戦というものへの適性も問われる。しかし最後は振って出たサイコロの運命に従うしかない面もあり、「運だけでもない、戦略だけでもない、駆け引きだけでもない」絶妙なプレイ感を生み出している。

上記のように運・戦略・駆け引きが程よくブレンドされたゲーム性のため、「ボードゲームが面白いと思い始めたが、まだ始めたばかり」という人から熟練のゲーマーまで幅広く楽しめる。特にゲームへの慣れがさまざまな人が混ざって遊ぶ時、本作は最有力候補の1つになるだろう

更にリプレイ性を高めるため、基本ルールだとあまり美味しさがない1〜3の目に追加効果を与えるミニゲームが16種類。この中から1度に使えるのは最大でも3種類のため相当息が長く色々なバリエーションが楽しめる。

プレイ可能人数が5人というのも地味に嬉しい点。というか、人との駆け引きが楽しいゲームなのでむしろ4人以上、できれば5人の時に出したい。また、多少の煽りを交えたり「今5の目美味しいよね」等の戦況分析を交えるなど、コミュニケーションを取りながらワイワイ遊ぶ方が本作は面白い

ここで若干のマイナス点も挙げておこう。それは「コンポーネント量の割にはお値段が少し割高に感じられる」点だ。
最近のボードゲームはコンポーネントの質が非常に上がっており、「これぐらいの値段ならこれくらいのコンポーネント」という期待値が上がっていると思われる。そうした中で本作はお値段を考えると中身はちょっと寂しい、と感じる人も少なくないのではないかと思う。実際、私も「もう少しお求めやすい値段で出てくれたらなぁ」と思わないではない。

ただ、本作の遊びやすさ、長すぎも短すぎもしない適度なプレイ時間等を考えれば活躍の場は少なくないだろう。プレイできる頻度が高いゲームなら結局元は取れるものだ。

センチュリーゴーレムやワーリングウィッチクラフトなどと並び、「比較的満足感のある5人ゲーム」「色々な層のプレイヤーと同時に遊べる貴重枠」として持っていて損はない作品だ。特に自分が卓を立てる機会が多い人や、いろんな熟練度のプレイヤーが混ざるオープン会・クローズ会の主宰さんにはうってつけのゲームではないだろうか。

ミルフィオリ

インスト15分程度、プレイ2時間程度。

ボードゲーム界で最もたくさんの作品を作っているお馴染みクニツィア先生の作品。昔よりもゲームデザイナーも面白い作品も増えた中、年齢を重ねたクニツィア先生は今でも現役だった!と喜びと衝撃を受ける作品だ。

まず盤面が綺麗!!もう、ほんと写真映えする。ミルフィオリとはイタリア語で「千の花」を意味する、美しい模様のガラス細工のこと。その名に相応しい盤面だ。
しかし盤面が美しいだけのボードゲームではない。相互のインタラクションがバッチバチなのだ。

各プレイヤーが自分の手番でできることは「手元にあるカードから1枚を選びプレイし」「そのカードの内容に応じてガラス駒を指定の場所に置く」これだけ。
その後、手元にあるカードは左プレイヤーに渡し、自分は右プレイヤーからカードを受け取って、その中の1枚をプレイする。これを繰り返していく。

このゲームの良いところは、なんと言ってもルールが分かりやすい上に気持ちいい点だ
「やる事は全てが点数になる」と言われるゲームは多いが、本作は回ってくるカードの中から1枚を選択しガラスマーカーを配置するだけで本当にどんな行動でも必ず点数が得られる。リソースなどは考えなくて良いので本当に「何をしても点数が入る」感覚がある。

しかし、だからと言って切れ味のない「結局何を楽しませたいのか分からない」というぼんやりしたゲームには決してなっていないのが流石のクニツィア流だ。

本作で言うと得点源は大きく言うと4箇所あり、工房、住宅、人物、交易&港だ。それぞれの場所にはそれぞれの旨みがある。
が、時折「ここで割り込めれば美味しいおまけが付く」というタイミングがある。例えば工房では十字マークを囲う最後のマスにガラスを配置した人は追加手番が発生する、人物で2段目まで既に置かれている時に自分が3段目を置けたらやはり追加手番が発生する、などだ。しかもこの追加手番の時に次の追加手番が発生する場所にガラスを置ければ更に連続手番が発生する事すらある。

人間はやはり「おまけがもらえる」と言うのは相当嬉しい。点数が追加でもらえるのもそうだが、単純におまけが嬉しいという心理はあると思う。

また、コンボ的に点数が膨れ上がる要素もある。
工房は自分のガラスの繋がりを広げて行ければどんどん貰える点数が膨れ上がる。
住宅も自分のガラスを2マス、3マス、4マスと繋げて行ければこれも得点が膨らむ。
交易&港も商品を4つ置けた列を自分の船だけで出港できればなかなかの点数だ。

従って各自は自分の得点をなるべく美味しくしたい!と思うと同時に他人が美味しくなる場所は割り込みたくなる。しかし同時にこれらを兼ねるガラス配置場所があるなら話は早いが、世の中そううまくはいかない。大抵は「自分の美味しい場所を更に美味しくしていただくか」「このまま他者を放っておくと大変な事になりそうなので一旦割り込むか」の選択になる。これが非常に悩ましい!

この悩ましさを更に増幅させるのは「カードドラフト」システム。
自分が1枚だけカードを選び、残りのカードは全て左隣に送っていくこの仕組みにより、「これを回したら隣のプレイヤーは次はあそこに行っちゃうんじゃない?アレ?それマズくない?大量得点にならない?うわーでも今自分がやりたいのはこっちだし…どうしよ〜!!」と悩むことになる。

プレイ時間2時間と書いたのは実はここにかかっている。「悩んでも仕方ないしサラッと決めちゃうぜエイヤ!」とプレイすれば実はそこまで時間はかからない。しかし上記した通り「美味しい場面が各所に散りばめられており」「自分を美味しくするか人の美味しい場所を横取りしたりコンボを防いだりするかを悩む」ことは不可避のゲームデザインと思われるので2時間は見ておいた方が良いだろう。

実はここに楽しさと表裏一体の弱点も潜んでいる。ドラフトシステムにつきものの弱点ではあるのだが「思考時間の違いが如実に見えてしまう」点だ。

本作は配られた手札のうちから1枚を伏せ、全員伏せ終わったら一斉にオープンし、親から時計回りにカード効果に基づきガラス駒を置く流れとなっている。
一度カードを伏せてしまえば、そのカードを捲った時に発揮される効果は明確であり時間が余計にかかる要素はない。しかしその「カードを伏せるまでの時間」が、長考派とそうではない人の間で明確に見えてしまう。同時に同じ作業をしているのだから比較が容易なのだ。自分はもうカードを選んで伏せてるのに待たされる、という場面が往々にして発生しやすい。

こうした事を特に気にしないメンバーで遊ぶ分には思考時間の差は大きな問題にはならないだろう。しかし極端に時間に差があるとお互いダウンタイムが気になってしまうかもしれない。これは悩ましいゲームの裏返しでもあるため、いわば長所の裏表であり避けられない点でもある。遊ぶ際にはこうした特徴を踏まえた上で、多少の思考の時間差が生まれるかもしれないがゆったりした気持ちで遊びましょう、と最初に声かけをする事で予防線を張り少しでも緩和を図るのが良いかもしれない。

いずれにせよルールは複雑ではないのにしっかりと悩ましく、そして楽しいゲームを作るのは流石のクニツィア先生である。
ボードゲームを本当に初めて遊ぶ!の一作目としては流石に難しい感もあるが、ボードゲーム適性がありそうな人を本格的なゲームに導きたい時に、導入として最有力候補の1つになるだろう

中量級については以上です。思ったより執筆が難産で時間がかかってしまい申し訳ありません^^;  2023のベストなのであまり遅くなるのも、と分かってはいるので、次回はあまり時間を空けないで公表できればと思っています 汗

最後まで読んでいただきありがとうございました。皆様の良きボドゲライフの一助になれば幸いです。


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