日記 2023.6.10 夏と五感
活字を求めている。
小さいころからずっと文字を追うことを求めていた。絵本のタイトルも本文もぜんぶ覚えて、図鑑も読んで、3DSの説明書もどこに何の説明が書いてあるか記憶するくらいに読んだ。CDについてくる歌詞カードも好きだし雑誌も、道端の看板も、廊下に貼ってあるポスターも、とにかく文字を読んで生きている。
心の中で読んで「ほう、、」となるときもあるし、あえて口に出してみたりもする。2つの違いはよく分からないけど、目にしたときに「声に出したい」とか「心の中で覚えておきたい」とかふんわり思う。好きな言葉はTwitterの下書きに保存している。気が向いたらそれをツイート。どこにある言葉なのか、わかってくれる人だけがわかってくれれば良いから反応はいらない…と思いつつ、わかってくれる人が不意に現れないかな、と期待している自分がいることに時間差で気づく。
最近、江國香織のすいかの匂いを読んだ。文字に温度があって、味もあって、色もあった。声に出すよりも、目で追いながら温度とか味とか色とかを思い返す方が似合う文章だな、と思った。夏に実家で食べた、すいかの冷たい感触が舌先に乗る瞬間を思い出して、懐かしくなった。
夏は不思議だ。
「夏」と聞くと私の脳内には冷たいかき氷の感触とか、氷を噛む感覚とか、夜のお祭りの涼しさとか、風鈴の音とか、扇風機のそばで蝉の声を聞いた日とか、そういう涼しい記憶が一気に駆け巡っていく。夏は暑い季節だけど、涼しさを思い出す。それも温度だけじゃなくて、音とか色とか味とか、そういう色々の感覚と一緒に思い出す。不思議だ。とくべつだと思う。夏が近づいてきて、私服の袖が短くなっていく。早く夏になってほしいと思った。夏になったら、本を持って涼しい喫茶店に行こう、と思いついた。ライブにもお祭りも行きたい。暑さを肌で受けながら、道端の「冷やし中華はじめました」を読んでみたい。(実はあまりこの文言に生で出会ったことがない。今年は出会えるかな) それから、実家に帰ってすいかも食べたいし、今年こそハンディーファンを買って遊びに行こうと思う。
夏をとくべつに過ごしたい。夏が好きだ。
早く夏に向けて買った厚底のサンダルを履いて出かけなければいけない やることがたくさんあって幸せだと思った。すごく