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子供の頃に読んだ本 『海底二万里』

 フランスの作家ジュール・ヴェルヌ(1828年2月8日生~1905年3月24日没)が1870年に発表した小説。ヴェルヌの作品は十九世紀末の当時の科学技術に基づいて書かれたものが多く、そのためSFの始祖の一人と言われている。
 『海底二万里』は、そのヴェルヌの中でも人気の作品らしく、多くの出版社から、異なった名前で出版されてもいる。
 海底、まではだいたいどれも同じで、旅行、二万里、二万海里、二万マイル、二万リーグ、二万リュー、などと様々な呼び方になっている。

 私が最初に読んだのは、『海底旅行』となっていた、小学校低学年向けくらいのもので、いまでもそう言ったものは、童話、という形で出版されているようだ。未だに子供向けが出ているというのも人気のほどが判る。
 その後、小学館の少年少女世界の文学というシリーズのフランス編に、『海底二万里』として載っていたが、こちらも何度も読み返した。
 アロナックス博士、コンセイユ、ネッド・ランドに、ネモ船長の名前は今でも覚えている。
 高度な科学力で造られた潜水艦ノーチラス号に乗って、巨大な蛸と斧で戦ったり、熱帯の島で、パンノキ、と言う木の実を食べるシーンとか、冒険小説として面白く読んだものだった。
 これは後々、探検記とか冒険記といった、ノンフィクションを好んで読むようになる下地のような物だったのかもしれない。
 大人になって、抄訳ではないものも読もうと思って、創元推理文庫の『海底二万里』を読んだ。海洋生物の名前の描写が多く、原作だとその注釈もいっぱいついているそうだ。さかなクン的な興味が無い人には冗長に感じられるところだろう。

 ジュール・ヴェルヌはSFの始祖と言われているが、子供の頃はあまりSFという認識ではいなかった。どちらかと言うと、冒険小説を読んでいるような感覚でいた。同じころに、『十五少年漂流記』なども読んでいたことも大きいのだろう。
 ヴェルヌの作品は他に、『地底旅行』『月世界へ行く』なども子供の頃に読んでいる。『海底二万里』と『地底旅行』は映画にもなっているが、それがテレビの洋画劇場で放映されていたのも見た記憶がある。
 子供の頃は、ノーチラス号という名前はアメリカが建造した原子力潜水艦につけられている、なんて蘊蓄をよく目にしたものだが、今はそんなことは言われることもないのだろう。ちなみにノーチラス(Nautilus)というのはオウムガイのことだ。

オウムガイ

 NHKで放映されていたアニメ『ふしぎの海のナディア』は、この『海底二万里』と『神秘の島』を元に製作された、となっているようだが、ストーリー自体は殆どオリジナルで、『海底二万里』らしさがあったのは二、三話くらいだったか。アニメとしては面白かったし、きっちりと終わってもいるので、『新世紀エヴァンゲリオン』はこちらの方が好きだ。

 あんまり行動的な子供ではなかったが、冒険小説は好きだった。スポーツは苦手では無かったし、夏休みに山に入って虫取り、なんてことは何時もやっていた。
 どこかへ冒険の旅に出る、なんていうことは、少年時代に多くの子供が見る夢のような物なのかもしれない。


 SFが好き、と言っておいて殆どSFを語ってこなかったが、これが私のSFの原点、なのかも。

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