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徒然なるビート

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自分の人生を振り返って大切なものを考えたり考えなかったりするブログです。
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2024年12月の記事一覧

決壊と再生

決壊と再生

[1]決壊
 あまりにも年始の自分とは状況が、心が変わってしまった。「ダムの決壊」のように、堰き止めていたものが一斉に吐き出されるような一年だった。こんな一年になるなんて。
 4月に母が亡くなった。戸籍謄本では、死亡時刻が明記された母に僕だけがぶら下がる形で記載され、公的な孤独が表現されていた。
 心も忙しかったけれど、スケジュールも今年が人生で一番詰め込まれていて、細かいところまでびっちり「やり

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コンプレックスと対話する

コンプレックスと対話する

[1]本当に良いのだろうか
 コンプレックスがなくなったとき、自分が自分でなくなってしまうのかもしれない。そんな恐怖を抱えながらコンプレックスと対話を続けている。
 「コンプレックス」という言葉はなぜか悪い響きを持っているけれど、自分が持っているコンプレックスの組み合わせや濃淡から生まれてきたかけがえのない個性も山ほどあるはずで、何か一つ、コンプレックスの山を崩してしまうと全体のバランスが崩れてし

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量の幸せ、質の幸せ

量の幸せ、質の幸せ

[1]量の幸せ
 量の幸せを追い求めるということは、ある意味お金を追い求めることに似ている。承認欲求も、お金の欲も、物質的な欲も、肉体的な欲も、美しいものへの欲も、追い求めればキリがない。
 キリがないのに、ほとんどの人はその世界が全てだと思っているし、SNSではそういう価値観に基づいた「欲求満たし自慢」みたいなものが溢れきっている。実際それをみて疲れたり、羨ましくなったりする自分もいる。
 欲望

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戸籍と友人

戸籍と友人

[1]戸籍謄本
 2024年4月5日午後0時56分。用事があって取得した戸籍謄本の母の欄には、死亡時刻が記載されていた。その時刻は僕が仕事を切り上げて会社を出ようとしていた時刻だった。母がそんな事態になっているとは知らずに、業務引き継ぎの説明をしていた気がする。そんなことを思い出していた。
 出来事を受け入れているうちに今年が終わってしまう。平安な心に辿り着くためには「死への恐れ」を取り除くことが

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トレンドからの解脱

トレンドからの解脱

[1]トレンドと循環
 朝のニュースを眺めていると、まるでアキレスと亀のように今年はスケルトンが再流行するとか、デニムが流行るとか、多種多様なトレンドがニュースになっている。容姿もファッションも、音楽も漫才も芸能も、人間が可能なパターンには限度があるので、無難なものは大抵数年から数十年単位でぐるぐるとトレンドが循環している。
 その中で自分にピッタリのものが見つかれば、その循環は意味のあるものだと

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驚きが無くなったら石を積め

驚きが無くなったら石を積め

[1]刺激に疲れた
 それなりに生きてきて、すっかり「驚き」が少なくなってしまった。「これは良い」とか「素晴らしい」というものは確固として存在し続けるのだけど、「驚き」はめっきり減ってしまった。
 経験を積めば積むほど、即ち頑張って生きれば生きるほど、「知らないもの」が減ってしまって大体想像がつくようになってしまう。「初めて食べる味」「新鮮な音楽」「聞いたことのない言葉回し」「新しいタイプの漫才」

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好きを繋ぎ止めてはいけない

好きを繋ぎ止めてはいけない

[1]「好き」と「楽しい」
 バンドをやっていると、つい誰かの「好き」を集めることに終始してしまう時がある。いや、そういう部分は常に付き纏っているのだけど、誰かの「好き」を繋ぎ止めるような過剰な行為や言葉はかけてはいけない、というスタンスで居ないと自分を見失ってしまいそうになる。
 「音楽が楽しい」から「好き」なのであって、「好き」だから「音楽が楽しい」なのではない。この順序はとても自分の中で重要

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