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玉藻前


名前:玉藻前たまものまえ
種別:白面金毛九尾狐はくめんきんもうきゅうびぎつね
※ 一般に〈九尾狐〉というと〝邪悪な大妖怪〟と認知されているが、それはこの〈白面金毛九尾狐はくめんきんもうきゅうびぎつね〉と呼ばれる個体である。
元来〈九尾狐〉は〈麒麟〉〈龍〉などと同格の〈瑞獣ずいじゅう〉と呼ばれる聖獣の類であり、世の泰平に現れる神聖な存在なのである。
出典:
九尾狐伝説
中国古典『封神ほうしん演技えんぎ』など
登場作品:『天上てんじょう天下てんげ大剣斬だいけんざん

性格:
冷酷残酷にして狡猾卑劣。
その悪意と姦計に底は無い。

固有能力:
●比類なき妖力を秘めている。しかしながら、最大の武器は〝狡猾にして残酷な悪意そのもの〟と言える。

特徴:
『九尾狐伝説』として名高い大邪妖。
中国では〝紂王ちゅうおう〟の妻〝妲己だっき〟に憑依して、悪政に民を虐殺した暴君であった。しかし、乱世に決起した暴動によって妲己だっきが処刑される際に魂泊を剥離して逃走を謀る。
今度は渡ったインドに於いて〝華陽かよう夫人ふじん〟として同様の虐殺劇を再演したが、正体を看破されて再度逃走。
その後、日本に渡り〝玉藻前たまものまえ〟として〝烏羽うば法皇ほうおう〟をたぶらかして再三の悪事を働こうと目論んだが〈狩魔かるま〉所属の陰陽師〝安倍あべの泰成やすなり〟によって看破され、下野の那須野にて遂に討たれる事となる。
しかしながら、しぶとくも後世にて復活し、これを〈狩魔かるま〉が総力戦にて再封印した。

だが〈覇獄同盟群はごくどうめいぐん〉の戦禍によって満ち始めた混沌を糧に、またもや現世に復活。
今回は全妖怪の天敵〈妖神・大剣斬だいけんざん〉を相手取らねばならないため、些か慎重になり、もっぱら陰湿な暗躍に主軸を置くべく、古今東西の妖怪を傘下に従えた〈邪妖會じゃようかい〉を結成した。
復活の際には〈覇獄同盟群はごくどうめいぐん〉へ共闘体制を持ち掛けるも、悪路王あくろおうは却下。
これは両組織の理念差による当然の着地と言えた。
悪路王あくろおう率いる〈覇獄同盟群はごくどうめいぐん〉は『現世を〈鬼〉が支配する理想郷に造り変える』──即ち〝鬼が支配権を得て、人間を隷属させる事が目的〟であり、ともすれば〝人間〟の根絶は考えていない。
何故ならば〝人間〟及び〝人間の負念〟無くして〈鬼/妖怪〉が成立しない事を、悪路王あくろおうは熟知しているからである。
対して〈邪妖會じゃようかい〉──というよりも玉藻前たまものまえは〝悪意のままに人間を弄び、果ては恐怖の洗礼に虐殺する事も辞さない性質〟に在り、それ自体に悦を見出だしている。
手段こそ同質ではあるものの、その最終目的は〝水と油〟なのである。
結果として、戦局は〈狩魔かるま〉〈覇獄同盟群はごくどうめいぐん〉〈邪妖會じゃようかい〉の三つ巴となり、混戦の装丁を催す事となる。

ちなみに復活した現在の姿は、かつての決戦で封印霊力の要となった狩魔かるま巫女〝ひいらぎ美鈴みすず〟の肉体──つまりは〝ひいらぎ美琴みこと〟の母である。
刺し違え覚悟の美鈴みすずに圧されるも、その絶命の間際に憑依して肉体を乗っ取り、尚且つ、その強大な霊力をも自らの妖力底上げに利用したのである。
この残酷な運命に苦悩傷心する美琴みこと……その救いとなるのは、やはり命運を共にした〝仲間達〟なのであった。

人々の不幸を悦に楽しみ、自らの姦計に酔い痴れる玉藻前たまものまえ──。
しかし、そんな彼女を悪路王あくろおうは嘲るのだ。
「貴様は知らぬのだ……真に怖るるべきは、御剣みつるぎ刀志郎とうしろう──あの男の厄介さよ!」

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