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経営の技法 #22
3-3 リスクアペタイト
リスクアペタイトという用語は、「リスク許容度」がどこまであるのか、という会社の体力だけの問題ではなく、積極的にどのようなリスクを取るのか、という会社の意欲の問題でもある。
<解説>
1.概要
ここでは、以下のような解説がされています。
第1に、アペタイトが「食欲」であるように、リスクアペタイトは積極的にリスクを取ることを意味します。
第2に、リスクアペタイトは国際的な金融行政上の政策であり、日本でも金融庁が導入を進めており、実際に大手金融機関からその導入が始まっています。
第3に、リスクアペタイトの具体化策として、①文章で、しかも定量的に取るべきリスクを明確にすることと、②スリーラインディフェンスが指摘されています。
第4に、事業会社にもリスクアペタイトが必要となっていく状況が説明されています。
第5に、リスクアペタイトの事業会社にとっての効能が説明されています。
2.学ぶこと
野村修也先生の説明により、事業会社が計画的積極的にリスクを取る経営が、世界的な潮流であること、それが金融機関を経由して日本の事業会社にも影響が及んできていること、が学べます。
さらに言えば、事業会社が積極的にリスクを取るべきことは、本書のテーマそのものです。リスクは避けるべき対象ではなく、チャレンジするために取るべき対象であり、リスクを取るためにリスクコントロールが重要なのです。
3.おわりに
内部統制(下の正三角形)の観点からのリスク管理の重要性は、ここで指摘したように、社会環境的に外部からも説明されます。
本書の他の部分では、リスク管理の重要性を組織の構造から説明することが多いのですが、社会的な必要性も理解しましょう。
※ 『経営の技法』に関し、書籍に書かれていないことを中心に、お話していきます。
経営の技法:久保利英明・野村修也・芦原一郎/中央経済社/2019年1月