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労働判例を読む#588

今日の労働判例
【大阪府(府立高校教員)事件】(大阪地判R4.6.28労判1307.17)

 この事案は、教員Xが仕事のストレスでメンタル状の問題(適応障害)を発症したとして、勤務先の学校Kを運営する大阪府Yに対し、損害賠償を請求した事案です。
 裁判所はXの請求を認めました。

1.請求認容のポイント
 判決では、残業時間の長さ(例えば、週末の部活顧問としてのサポート業務など)、業務上のストレス(例えば、学校が運営する交換留学のためのオーストラリアの高校との打ち合わせや、学校内での企画・調整など)などを、非常に詳細に検証・認定し、Yの責任を認めています。
 仕事熱心なXに、仕事が徐々に集中していき、X自身が悲鳴を上げるまで追い込まれていく過程が、非常に詳細に認定されており、見方によっては、Xのまじめな性格もXの負担増加の原因と言えるかもしれませんが、結果的に、全てYの責任とされました。
 特に校長の管理責任については、XからたびたびSOSが出されていましたが、校長は休みを取るように、等という一般的で具体性のない声掛けをするだけで、何も対策を講じなかった点などを指摘し、その責任を肯定しました。

2.実務上のポイント
 法律上の問題からより踏み込んで考えてみると、①優秀でやる気のある人に仕事が集中してしまう、②仕事に慣れていない段階では、そのやる気が過大評価され、その能力や経験を超える仕事を任せることになりかねない、等の、労務管理上の問題点がうかがえます。
 この判決は、いかにXに仕事が集中していったのか、という経緯も詳細に認定されており、労務管理上学ぶべき数多くのポイントを学ぶことができます。

※ この連載が、書籍になりました!しかも、『労働判例』の出版元から!


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