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経営の技法 #24

3-5 リスクコントロール機能
 リスク対応の2つ目のポイントである「リスクコントロール機能」は、専門部署に任せてしまいたい機能だが、現場部門の無自覚で無責任な判断を誘発する危険もある。制度設計だけでなく、その運用も視野に入れて、迅速性と専門性の両立を目指すべき問題である。

2つの会社組織論の図

<解説>
1.概要
 ここでは、以下のような解説がされています。
 第1に、リスクセンサー機能との関係を確認しています。
 第2に、リスクコントロール機能の主体について、リスクコントロール機能はリスクセンサー機能よりも高度な能力が必要なので、全て現場、というわけではないが、やはり現場が主役であることを説明しています。
 第3に、より具体的な役割分担の1つの方法として、原則として、本部(リスク管理部門など)がリスクコントロールの担い手となる体制を説明しています。
 第4に、逆に、原則として現場がリスクコントロールの担い手となる体制を説明しています。
 第5に、いずれの体制が正しいか、という問題ではなく、より会社の実態に合った体制を模索することの重要性を説明しています。

2.リスクコントロールに気付いた経緯
 前回、リスクセンサーに気付いた経緯をお話しました。当初は漠然と、すなわちリスクセンサーもリスクコントロールも区別せず、現場がリスクに関与すべきである、という点について気づきました。
 リスクコントロールに気付いたのは、この次の段階です。
 すなわち、リスクに気づいた(リスクセンサー)ら、それを取るかどうかの判断は経営であり、リスクコントロールは、しいて言えばこの両方に属する機能でした。
 しかし、経営学の勉強を始め、特に「老舗学」や「番頭学」に関わってみると、経営が決断を下す前段階に、決断できるようなお膳立てをする役割があり、その役割は経営判断そのものとは別であることに気付きました。
 しかし、リスクに気づくことと、お膳立てをすることも、同じリスクへの対策であるものの、その機能に違いがあることに徐々に気づき、リスクセンサー機能と別にリスクコントロール機能を考えるべきであるという結論に至ったのです。

3.おわりに
 漠然とした「リスク」「経営判断」の関係に関する整理は、今後も様々な会社の様々な経営形態に出会う度に修正されていくと思いますが、実際に私が社内弁護士として経営の間近にいて感じていたことを、経営学の研究成果と、自分自身の執筆を通して消化し、整理していったように思います。
 経営学は、演繹的な学問ではなく、むしろ帰納的な学問で、会社経営の実態を集積して分析し、体系化したものですから、会社経営の実態を分析するツールとして、経営学が有効なのです。
 また、自分で執筆することで、頭の中に漠然と残るイメージが明確になりますので、漠然としたアイディアをはっきりさせ、そのアイディアに合理性があるのかどうかを検証するツールになります。

※ 『経営の技法』に関し、書籍に書かれていないことを中心に、お話していきます。
経営の技法:久保利英明・野村修也・芦原一郎/中央経済社/2019年1月



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