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経営組織論と『経営の技法』#307

CHAPTER 12.2:組織のライフサイクル ⑤共同体段階の意味
 組織マネジメントヘの リーダーシップの危機が解消されると、リーダーは明確な目標と方向性を示し、組織は次の段階、共同体段階に入ります。この段階では、権限の階層構造や職務の割当てや分業のあり方が確立していきます。この時期は従業員も組織のミッションや目標を共有し、共同体の一員として熱心に働きます。情報の伝達経路などは、起業者段階よりはある程度公式的なものとなり、特定の経路が確立します。
【出展:『初めての経営学 経営組織論』272頁(鈴木竜太/東洋経済新報社2018)】

 この「経営組織論」を参考に、『経営の技法』(野村修也・久保利英明・芦原一郎/中央経済社 2019)の観点から、経営組織論を考えてみましょう。

2つの会社組織論の図

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 経営判断の適法性にしろ、人事権行使の適法性にしろ、会社の意思決定の違法性が問題になるときに、会社側が適法であることを証明する方法には、大きく分けると2つあります。
 1つ目は、この場合、あの場合、それぞれ行き当たりばったりだったかもしれないけど、それぞれ十分適切に検討していた、という個別対応です。
 2つ目は、会社にはこのような組織とプロセスが存在するので、それに従っている以上原則として有効だし、実際、違法となるような問題がなかった、という一般的な対応です。
 組織やプロセスが信用できるものであれば、2つ目の方法の方が会社にとって有利です。というのも、組織やプロセスがしっかりしていることが伝われば、その程度に応じてレベルは異なってきますが、裁判所が会社のことを信頼してくれ、これに対する批判を主張する側が不合理性を証明しなければならなくなるからです。
 そのような組織やプロセスが育ち始めることは、組織化や役割分担に伴う様々なマイナス面も生みますがプラス面も大きいので、それを活かすような育て方を考えましょう。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 投資家である株主から投資対象である経営者を見た場合、経営者はこのような特性も理解しながら組織を育てていける能力が必要です。

3.おわりに
 生物が進化していく過程にも似た成長過程が見えてきます。その最初の段階と言えるでしょう。

※ 鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
 冒頭の引用は、①『経営組織論』から忠実に引用して出展を明示すること、②引用以外の部分が質量共にこの記事の主要な要素であること、③芦原一郎が一切の文責を負うこと、を条件に、鈴木竜太教授にご了解いただきました。


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