思い出と巡る箱根日帰りの旅
「みんなで箱根に行きたいわ。」
母がそう言い出したとき、ちょっと意外で驚いた。
今は亡き父が無類の箱根好きで、結婚してから暇さえあれば車で連れていき、数十回を過ぎたあたりで母がもうこれ以上私を箱根に連れていかないで!と宣言したという逸話があるから。
その宣言以降、さすがに頻度は減ったらしいけど、私が生まれてからは家族旅行で何度か行ったし、父の仕事上海外からのお客様を連れて行くこともよくあり、母にとってはかなり馴染みの深い場所。
ふとした折に、うちの夫と息子が箱根観光スポット未体験と知って、いつか連れていってあげたいと密かに思っていたそう。
どうせなら紅葉の時期にする?
とか
箱根といえば温泉だよね!
とか
いろいろ欲が出て迷ったものの、
「日帰りで十分楽しめるよ。紅葉の時期は混んでかなり並ぶから、少し早めに行こう!」
という母のひと声で、10月最後の土曜日に決定。(混むのは紅葉見頃の11月中旬~下旬、ちょうど今頃だね)
箱根を日帰り?とあまりピンとこなかったけど、母オススメの鉄板コースがあるというので、今回はそれに乗ってみることに。
母に指示された準備はふたつ。
①箱根をお得にぐるっとまわれるクーポン?を買う
②行きの特急券を予約する
母いわく、
とにかく①さえ手に入れれば何とかなる
という絶大な信頼感。
調べたところ、「箱根フリーパス」だった。
下図1~8は乗り放題で、新宿↔️小田原駅の往復1回分がついている。
有効期間が2日間と3日間で選べて、私たちは2日間(大人6800円)を購入。ロープウェイだけでも片道1500円するので、日帰りでも十分元がとれるお得さ!
デジタルチケットもあったけど、人数分のスマホ必須だったので、今回は紙のチケットに。
そして子鉄な息子が
「ロマンスカー乗るなら絶対赤いやつがいいっ!」
と熱烈リクエスト。
え、ロマンスカーっていえば白じゃない?
(※ほかにも色々ありました)
「VSEシリーズは引退したんだよ!」
得意気に語る子鉄息子。
そうなの?知らなかった。
箱根フリーパスには特急券がついてないので、小田急サイトにて予約。今回ちょうど4人なので、回転させてボックス席にできる前後を選んでポチっと。
いちばん人気の展望席も狙ってみたけど、やっぱり難しかったー。実際に乗ってみたら、先頭車両で中ほどまでの席なら視界が開けてそうだったので、展望席に限らずおすすめ!
(余談だけど分からないことがあって小田急コールセンターに何度かかけたけど、みんなめっちゃ親切だった!素晴らしい)
そして本当に①と②しか用意せず、
いざ、箱根へ!
大涌谷といえば有名な黒いゆでたまご、
その名も「黒たまご」。
ひとつ食べれば寿命が数年のびるといわれていて、むかし亡き父は欲張って10個食べ、お腹を壊した伝説の持ち主(こどもか)。
その話に花を咲かせながら、ベンチに座り4人で黒たまごを剥いて食べる。
食べ…… ぽとっ。
黒たまごを楽しみにしていた息子、食べはじめてすぐ落とすというハプニング(あるある)で涙目になり、仕方なく売店にもう一度買いに行くも「売り切れました」と言われてしばし固まる。(他店で無事買えました)
下船した元箱根をぶらついていたら、箱根駅伝ゴールを偶然発見して、今日イチでテンションが上がる夫。(陸上競技と箱根駅伝をこよなく愛する男)
ちなみに箱根は、エヴァの聖地だそうで。
エヴァ好きな息子を驚かそうと、サプライズでお店やスポットに連れていくも、箱根といえばエヴァだからね!と逆に諸々解説をし始める。
元箱根からバスで箱根湯本まで、そしてロマンスカーで新宿まで戻ってきたのが、18時半頃。
本当に日帰りで満喫できたー!!
箱根フリーパスさえあれば、いちいち券を買う必要もなく、各乗り換えも非常に分かりやすい。手軽に旅行気分を満喫できて、これはオススメですよ奥さん!
ただ混む時期は各乗り換えでかなり並ぶらしく、あと下船した元箱根は16時前でも喫茶店が全て閉店してたり、バス待ちの時間も結構あったので、そこだけ注意かな。
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父は旅行好きだったかというと、ちょっと違う気がする。
いろんな場所に行くのは確かに好きだったけど、「行った」という事実が大事であって、着いて間もないのに「よし、じゃあそろそろ帰るぞ」と言い出すようなひとだったから、旅行もプールもお祭りも、父と一緒だといつも忙しなかった。
でも今考えると、父は連れていった誰かが喜ぶ顔を見るのが好きだったんじゃないかな。
箱根には一緒に行きたくて、形見のループタイをつけてたら、途中で息子に奪われた。
父がまた連れてきてくれたんだなあ。
箱根日帰り、よき旅でした。
長いのに読んでくれた方、ありがとうございます。