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【新卒のゆらぎ】ジメジメと就活を振り返る

新卒で入社をして、はや2か月が経とうとしている。

早めの梅雨入りを前に、私の就職活動をしっとりと記したくなった。どうかどんよりジメジメとした気分に引きずられないようにしたい。


コロナ渦で混迷を極めた人生初の就職活動。大学入校が厳しく制限され、友人と顔を突き合わしてあれこれ語り、励ましあい、刺激を受ける機会はなかった。正直なところ、私は

「人と無意味に比べず焦らないで済むじゃんオンライン最高!優勝!ありがてえ!」

…とオンライン授業も就活も適度にエンジョイしていた勢であった。むしろもし例年通りのスケジュールであったなら、通学しながら国家試験やTOEICの勉強をして就職活動もアルバイトもして…


確実にパンクし近所の公園をリクルートスーツで夜な夜な徘徊してはブランコに乗り、月明かりに照らされて普段飲まないビールを片手に感傷に浸り、翌日パンパンにむくんだ顔でどすこい就活を繰り広げ面接官からは闇落ち就活生と揶揄されてもおかしくはなかったであろう未来がチラつく。何を言っているのか理解に苦しむかもしれないが、当の本人もワケがわからない。タラレバはここまで。


とにもかくにも、オンライン就活において私を混乱させたのは自己分析、自己PR、ガクチカ…こういった自分が何者かを強制的に認識し把握させ、自覚させようとするそれ。確かに、自分はこういう人間だぜ!というトリセツを当の本人が持っていれば、人間関係や仕事で役立つ側面があるのは理解できる。今後の展望だってヒトによっては思い描くの材料になるのかもしれない。

ただ、自分のことが一番わからない私にとっては苦痛以外の何物でもなかった。

例えば、積極的なタイプか、消極的なタイプかと問う内容に対して、普段は保守派で石橋をたたいても渡らない腰が重すぎる私でも、時としてマイノリティを体感したい!という安直な衝動にかられ、マニアックな国の交換留学をしたり、2年間同じクラスで片想いしていたあの人(一度も話したことはない)に早朝7時に告白したり、、、トチ狂った行動をぶっ放しエンジン全開でブイブイいわせようとするオラオラ系の自分もたしかにいる。    はたしてオイラは消極的なのか?積極的で行動力があるのか?いやはや、ニンゲンなんだから、二面性があるのは別に"フツウ"なことかもしれないけれど、それを


「時と場合とその時のテンションが大きく影響します。」


なんて馬鹿正直に答えたら、コイツ情緒不安定すぎて怖い!という印象を与えかねない。

だからまあ、とりあえず積極的な性格ということにしておこうか…といった具合に、自分ををなだめながら、"自分"という人間の型を探し、枠にはめ、それらしいカタチに調整していた。それが就活で"私"というニンゲンを説明するうえでの軸となっていた。



そんなこんなで昨年の7月頃。周りも就活を終えてバイト三昧の人や、秋から募集始まるからまだ大丈夫!という人もチラホラ。当の私は、大手食品会社に内定をGETできたものの、なにか悶々としていた。

そのモヤモヤの根源は、面接でお世話になった人事のAさんであった。Aさんは新卒でB社に入り、人事に配属。明るくノリが良い30代のお兄さん!といった印象だったが、内定を頂いてからのオンライン懇親会や、月一でくる電話口での話し方、そしてAさんのワードチョイスから醸し出される暗いモヤに気づき違和感を感じたのが7月のその頃であった。

それがなにかというと、Aさんが休日"嫁"と称する愛車と旅をしたり、その嫁はメンテナンスが大変でとにかく手がかかるけれど、その嫁のために今日も働いている、それが私が働く意味です、という発言だ。

「ああそうですかハイハイ素敵な趣味ですねお幸せそうでなにより。」

と思えればよいものの、当時の私は過激派だったため、まるで歌のお兄さんが完全に闇落ちしたように映ってしまった。相当ショックを受けたのだと思う。そう思わせたのはその発言だけでなく、Aさんの表情だった。    懇親会などで少しずつ人事側も人となりを見せてくださるようになることで、ふと気が緩んだ時に、Aさんから光のない眼で、「仕事は相変わらず"嫁"との生活のためです」といわれるととにかく恐ろしかった。

いやはや、仕事が別に自分の好きなことでなくても、趣味のために生きることも全くかまわないが、その人が、闇落ちフェイスで生活のリアルを画面越しで見せてきたあの懇親会ZOOMで(ありがたいことに?)私の心は決まってしまった。

「自分に素直に生きたい。なんかもう安定とか切り離して…自分が好きなものを探しなおそう」

…と思い、好きだった業界のワードにスペースで新卒と打ち込む。すると中途採用しかとらない風潮のあるその業界の職種に、新卒の募集要項がなんとその日の日付でアップされていた!

これだ!と縁を感じた私はその日のうちに履歴書を作成して1番に応募。そして1番に面接をさせて頂いた。                   募集人員は1人。1111…なんか1に縁があるのかな…なんて想像を膨らましていた。心のどこかで、"定員1名"は不安が残るはずなのに、ここしかない!絶対ここだ!!!と謎の自信で食品の内定を辞退し、背水の陣で面接に臨んだ。(早朝に片想いの人に告白したときと同じような謎の威勢のよさが蘇る恥)

周りからは安心の大手の内定を持ちながら、そっちも受ければええやん…と言われるも、身を潔白にしたい!もう後戻りしたくないんじゃ!突っ込めオラオラ!SAYグッドバイ!!完全に感情に身を任せた私。        就活で"積極的な性格"?の枠にはめたおかげか、面接のコマを進め内定をもぎ取った。



振り返ると、なかなか愉しい就職活動ではなかったのかと思う。野生の勘を働かせ、臭いで嗅ぎ分けた感じが正直否めない直観タイプの私。

今後のことはわからないが、梅雨が本格的に迫ってきているので、心がカビて腐らないようにしたい。腐りそうなときは防腐剤を忘れずにしていたい。ちなみに私の防腐剤という名のご機嫌は鴨肉と酢昆布で解決。


どうかAさんも含め、皆様、ご自愛くださいませ。

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