屋根で踊る孔雀
わたしの幼いころのはなし。
習字のおけいこの帰りのこと。すぐ下の妹と、自転車で走っていたら、見上げた屋根に、孔雀がいた。
ぽかんとしたけど、孔雀のことを妹に告げ、わたしは慌てて、元来た道を戻る。妹もついてくる。
習字の先生のお宅のお隣へ。道に面した、大きな囲いの中をのぞくと、いつもそこにいる孔雀はいなくて、空っぽだった。
やっぱり。
羽を売るために、孔雀を飼ってるお家。習字の先生の文机の筆入れにも、立派な孔雀の羽が何枚も刺さっている。1枚くらいもらえないかなぁと、いつも思う。でも、先生が怖くて、そんなこと、言い出せない。
用もないのに、孔雀を見に行っては、羽を広げたところが見たくて、わざわざ怒らせる。孔雀には嫌われてるだろうな。「また来たよ、こいつ」いつもそんな顔をしてるから。
そんなことは知らない、そのお家の人に、孔雀が逃げてることを知らせ、孔雀のいる屋根へと案内した。ちょっと、得意げに。
見上げた屋根で、孔雀は羽を広げたり閉じたりしながら、ゆらゆらと歩いてた。まるで、踊っているようで、その姿にしばし見とれる。
そうしたら、急に不安になった。飼い主に知らせてしまったけれど、そうしなかった方がよかったかな。自由に踊っていた方が、囲いにいるより、楽しそう。
そういや、屋根までどうやって行ったんだろ。ぴょんぴょん、ジャンプする姿を想像してみた。あれ?それでも届かないよね…
飼い主さんからお礼を言われ、わたしと妹は家へ帰った。次に、習字のおけいこに行ったとき、お隣のお家を見にいったら、不機嫌そうな顔で、孔雀がいつも通り、囲いの中にいた。
なんかごめん。次に外で見かけたらさ、内緒にしとくから。
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今日は年に一度の健診でした。採血が苦手なのですが、なんとかなりました!健診後は、がんばったから、いつもよりも豪華に、フルーツショップのモーニングをいただきました。美味しかったです。
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