持ち味をみつめて
「人間はどうしても欠けていると思うところが気になるんです。だから、おかあさんたちは、お子さんがすでに持っているものをより意識してほしいんです。足りないなと思うところより、もう持っているところに目を向けてあげてください。」
市主催のいつかの子育て講座にて。
講師の先生がそう言われたことが、くっきりと残った。先生の顔や名前も忘れてしまったのに、その言葉だけがずっと胸にある。
子育てにいつも不安を感じていた。我が子をまわりの子と比べて、まだ出来ないことを気にしてしまう。自分で深く考えもせずに、育児書を鵜呑みにして。
子どもの足りないところばかりをがんばらせて、やらせようとしていた。何かひとつできたら、それなら次は…と焦ってもいた。
持っているもの…
当たり前でみつけようとも思ってなかった。もったいないことをしていたな。
それから。
子どもたちをよく観察するようになった。
娘は手先が器用だ。お絵描きと本が好き。やりたいことには好奇心旺盛。マイペース。恐竜が好き。トリケラトプスのぬいぐるみを息子として、可愛がっている。
息子は動きまわり、よくしゃべる。運動センスあり。物作りが好き。力が強い。姉ができることは自分もできると思っている。負けず嫌い。細やかで気が効く。
あれ?
持っているもの、いろいろとあった。子どもの持ち味、気づかなかった。
娘は動かないから、運動させなきゃ。
息子はこわがりだから、慣れさせなきゃ。
あれもこれも…
あぁ、わたしだって、足りないことばかりなのに。嫌なおかあさんだったなぁ。
今までの子育てを反省し、いい方向転換ができた。足りないと思うところも、やはり気にはなるけれど。しかたがないね。
それからもいろいろあって、子育ては今も続いている。
娘18才、息子15才。
それぞれが持っているものをなるべくみつめながら、まだ続くであろう、子育てを楽しみたい。
このごろ、自分の持っているものもみつめてみようと思えるようになった。わたしの持ち味。探してみよう。ようやくその余裕が出てきたみたいだ。
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