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母のホットケーキ
ホットケーキが好きだ。どうして好きかなんて、考えたことがなかったけれど、noteでコメントを返している時、はたと気づいた。
母が作るホットケーキが、好きだからだ。
とは言っても、森永のホットケーキミックスで作る、一般的なもの。ただ、牛乳じゃなくって水を入れるし、混ぜ方など全てが母の肌感覚だから、真似ができない。そのやんわり感、もっちり感は、絶妙だ。
そんなことに気がついたら、とてもとても母のホットケーキが食べたくなった。
しかし、わたしは母にすんなりとお願いすることができない。それが、子ども達(母にとっては孫達)に関することなら、簡単にできる。夫のことでも大丈夫。でも、自分のこととなると…
お願いしようか、やっぱりやめとこうか。そうやって考えることが、すでに面倒だ。母の気分で、いきなり、お昼にホットケーキをくれることもあるから、それを気長に待つかなぁ。きいたことはないが、母もホットケーキ、好きなんだと思う。
ただ、最近は息子が小麦粉を控えているから、母も気にしてくれていて、待っていても当分、ホットケーキはやってこないような気がした。でも、なるべくはやく、この気持ちのまま、食べたいんだよなぁ。
ある日、うだうだ悩むのがもう嫌になって、
「おかあさんのホットケーキが食べたいから、今度作ってくれる?」
と思い切って、言ってみた。
母はきょとんとして、
「○○くん(息子の名前)が食べたいって言ったの?」
「ううん。わたしが食べたいだけ。」
しばし沈黙があり、
「いつ作ったらいいの?」
「次の土曜日、お昼にお願いします!」
ホッとした。すごく、やり切った感があった。
よくよく考えたら、そのくらいのこと、頼んでもいいよね。ただ、母に頼まれることには慣れていても、頼むことには慣れていないのだ。
とってもウキウキしながら、その日を待った。しんどいタイミングも、週末に母のホットケーキがあるって思ったら、ちょっと楽になった。少し先に、ご褒美を置いておくと、わたしはがんばれちゃうタイプだ。
そうして、土曜日のお昼、忘れることなく、母はホットケーキを3枚焼いてくれ、息子はほとんど1枚食べた。わたしは、一気に1枚半をペロリと食べた。
夫は仕事でいなくって、ちょっとは残しておこうと思ったけれど、ついおやつにも食べてしまって、残りはほんのちょっぴりになってしまった。こんな少しだけ残してもとまた思い、結局、全部食べてしまった…
「とってもおいしかったよ。ありがとう!」
そう言ったら、母も笑った。おかあさん、最近、よく笑うようになったなぁ。
また、ホットケーキ、作ってもらおう。今度は、夫が休みの日にね。