脇毛を確認する為に本気で頑張った話
小学3年生〜高校までバスケ部に所属していた。一応大学でもやっていたが完全にお遊びサークルに入っていただけなのでガチガチに勝利を目指して切磋琢磨していたのは小学生3年生からの10年ちょいくらいの期間になる。
その中でも最も印象に残っているのは中学の3年間だ。先輩が一人しか居ないにも関わらずベスト4に入っていたし、自分達の代では市内で一位にもなった程だった。たが印象に残っているのは優勝したとかそんな事では無く面白いエピソードがワサワサと出てくるからである。
今回はその中でも最もくだらない話を書こうと思う。
確か中学2年の頃だった。僕たちは部活中にも関わらずあの子が気になるとか恋の話をしたり何で今?って思うくらいのドエロい話をしたりと思春期のど真ん中に居た。
そんな中、エースでお馬鹿な成田君が浮かない表情をしていた。彼はイケメンでバスケもものすごく上手い上に副キャプテンまで務める天に二物以上与えられし男だった。でも、脳内年齢は人より遥かに子供なやつで黙ってバスケしてればかっこいいのにお母さんの事未だに『ママ〜!』って呼んでたりする可愛いやつでもあった。
そんな男が何やら真剣に悩んでいたのだ。
話を聴いてみると最近出来た彼女についての悩みだった。彼女はMちゃんといい、超いい子だし綺麗な子で違う中学校の女の子だった。毎週水曜日に市の体育館が開放されてて夜に皆集まってバスケしてた時に知り合いになって付き合うまでに至った形だ。みんなもMちゃんを知ってるしまじでどこで悩んでるんだこいつ?って感じだったと思う。
成田君が口を開いた。
「多分脇毛っぽいものが見えたんだよね、、」
一同『!!?!??』
どうやらこの間の水曜日の集まりの際にたまたまそれらしき物が見えたとの事だった。
今書いてても思うが脇毛くらい中学生だろうが生えるしどーでもいいだろって思うかも知れないが当時の僕たちは自分のチン毛がいつ生えたかとかまだ生えてないかとかそんな話でイチイチ盛り上がるような健康優良児だった為、これは一大事だということになり作戦会議が開かれた。当たり前に練習中である。
キャプテン、副キャプテンを含めた5〜6人くらいで色々話してた気がする。キャプテンもこんなんノリノリで参加してるし本当によく優勝したなって思う。
「そもそも脇毛なのか?」
腕を上げた際にちょっとだけ黒い物が見えたいう成田君に対し疑問が上がった。
スポーツブラと見間違えた可能性が高いのでは?という結論に至った。しかし僕らはそんな仮説では納得が行かなかった。「確認する必要がある!!」全員の意思は固かった。
つーかそもそもみんなスポーツブラをまじまじと見た事なんて無かったし脇毛も生えてなかったし遠目でみて脇毛かスポブラかの違いが分かるようなやつらじゃあ無いのだ。
こうなるとなんとかして彼女の脇を確認する必要がある。僕らは知恵を絞り出し2つの作戦を絞り出した。
①【ストーキング作戦】
名前の通り対象に対してずっと後ろを付けて回りチャンスをただただ待つ。もう本当にあほみたいな作戦だった。すぐにボツになった。
②【リバウンド作戦】
こちらが本命の作戦である。3対3形式でミニゲームを行い、僕たちはいい感じにやってるフリしながら遠くからのシュートを打ちまくり彼女にリバウンドを取りに行かせて脇が確認出来るチャンスを待つ。と言う物だった。
分かりやすく写真で説明するとこんな感じだ。
もう脇丸見えである。実際はユニフォーム着てないし普通のTシャツだが腕を高く上げる動作を行えば理論上いつかは見えるはずなのだ。
この作戦なら敵でも味方でも脇を目視する事は可能だし全方向からの確認が可能な為チャンスは何倍にも跳ね上がる。
最高の作戦を作った僕たちは心躍らせ、決戦は次の水曜日となった。あとなんでか忘れたけど何故かストーキング作戦も一緒にする事になった。まじでなんなんだ。
〜水曜日〜
僕たちは例の体育館に来ていた。僕たちの中にだけいつもと違う空気が流れていたと思う。
程なくしてシュートとか打ってたら今回のターゲットが遂に現れた。
予想通りTシャツ短パン至って普通の練習着を着ていた。笑顔で手を振りながら近づいてくるターゲット。まさか自分の脇が超セクハラな危険な目に遭うとは思っても居ないであろう。
とりあえず最初はストーキング作戦を行う流れになっていた。バレないようにメンツを変えてストーキングする予定だった。
確か最初は僕とかだった気がする。
当たり前に『?』って感じになってた。だってずっとニヤニヤしながら着いてくるんだもん。しかも他の奴らもそれ見ちゃってるし『え?なに?笑笑』って完全になんかあるなと思われてしまった。
ここでストーキング作戦は終了。(つーかまじで要らなかった)
いよいよ本命のリバウンド作戦の決行である。
お馬鹿さんの集まり僕らはこの為のフォーメーション等も練習していた。準備万端だぜ!!!
テンションMAXで3対3を始めた。
、、、、
しかし、上手くいかないものだった。スリーポイントが何故かここに来て決まりまくってしまったり、跳ねたボールは全然違う方向に跳んでいったり、みんな脇を見るのに夢中になってボール見てなかったし、最終的にリバウンド行く前に何故か「うおおぉあぉあ!!」って言ってコケてリバウンドはMちゃん専門の仕事にさせたりしてた。
ここでも彼女は何かを悟り
『え???まじでなに笑笑??』
ってなってた。そりゃあそーなるよね。
結果は惨敗。中学生のアホな僕たちの挑戦は終了し、真相は闇の中となった。
何ヶ月かして成田君はMちゃんと別れてたし脇毛の話なんてみんなすっかり忘れて過ごしていた。
〜時は巡り高校生〜
高校生になってもまだ僕たちは仲が良かった。
成田君は居なかったが例のMちゃんと女子バスケ部の女の子、僕と富樫くん(脇毛調査隊の一員)でクリスマス会をする事になった。
まあまぁテンション上がってきたところで富樫くんと僕は急に脇毛事件の事を思い出した。
もう時効だし良いだろうってことになって思い切ってあの時の脇毛事情について聴いてみることにした。
『えーそんなことしてたの!?覚えてないよー!怒』
みたいな感じで、こっちも軽く謝り許してくれた。
『多分その頃だし脇毛なんて無いと思うし多分スポブラじゃないかな??』
『でもそもそも腕上げてスポブラなんて見えなくない、??』
確かにそうである。女の子が言うんだから間違いない。みんな正直最初から見えなくね?って思ってたもん。
結局成田君が見たあの毛色(景色)はなんだったのか未だに分からないのであった。