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「アクション・リサーチ型」の校内研究(中)

(前回のつづき)

 今回、15時からの「校内探究会」で自身の探究について発表したのは、次の3名の教職員だった。

①MK校長
発表内容『釣りとけん玉と学校経営』

②6年2組・IK教諭
発表内容『社会の授業をみんなで考えようの会』〜歴史を知るは未来を知る〜

③3年1組・IH教諭
発表内容『テーマプロジェクトとマイプロジェクトの往還と興味の複合』〜クラスでの探究、個での探究、その揺らぎ〜

 ・・・何といっても、校長自身が他の教職員と同じ立場で発表をするというのは、極めて珍しいことだろうと思う。

 また、3年のIH教諭と6年のIK教諭は、それぞれ校内研究の主任と副主任を務めるミドル・リーダーたちである。今回は、それぞれが5校時に行った公開授業を踏まえての探究発表だった。

 私たち参加者は3つのグループに分かれ、30分ごとにローテーションをしながら3人の発表を順番に聞くというかたちで会は進行した。以下、それぞれについて感想を記しておきたい。

①MK校長の探究『釣りとけん玉と学校経営』

・まず、『釣りとけん玉と学校経営』というテーマがユニークである。1992年にリリースされた平松愛理の「部屋とYシャツと私」を思い起こさせるが、あとでMK校長に確認をしたところ、「無関係です」とのことだった。

・平松愛理の歌はともかくとして、探究のテーマに「釣り」や「けん玉」を入れるというMK校長の「遊び心」が、校内研究から「心理的な負担」を取り除くのに一役買っていることは間違いないだろう。

・MK校長は、幼少期から「釣り」と「けん玉」に親しみ、それを極めようとしてきたそうだ。上達するためにチャレンジをすることが、新たな自己発見や絶え間ない自己変成につながり、「生きる」ということのエネルギー源になっているという。

・また、「もっと大きな魚を釣りたい」「もっと技が上手くなりたい」という強い思いをもってやり続けることで、同じ志をもつ人との出会いがあったり、新たな知恵を授かったり、今まで見えていなかった「もの」や「こと」が見えてきたりしたそうである。

・こうした探究の姿は、校長としての学校経営とも相似形であると思われる(相似形であるための前提として、学校経営を「楽しむ」ことや、よりよい学校経営をしたいという「強い思い」が必要であろう)。

・MK校長は「けん玉」の検定員の資格をもっており、校長室で定期的に昇級・昇段の検定会を実施している。「けん玉」が子どもたちとのコミュニケーション・ツールになっているとともに、「けん玉」を通じて子どもたちに探究心を育んでいると思われる。

・MK校長は、校長として「評価者であると同時に被評価者である」ということを自覚しており、「校長の学校経営に対する職員アンケート」にも積極的に取り組んでいる。このような「自らを客観視し、自分自身の『現在地』を確認しようとする姿勢」は、「釣り」や「けん玉」の上達を目指す過程で醸成されたのではないだろうか。

・また、こうした探究のプロセス(課題の把握→情報の収集→整理・分析→具体的行動)は、児童生徒指導上の問題をはじめとする学校の危機管理においても大いに役立つものだろう。

(つづく)

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