立田 順一

横浜市在住。教育関連のことを中心に書いていきます。

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45歳・教員の「越境学習」 ~日本財団での1年間~(1)

突然の電話「立田さんには、4月からの1年間、企業等への派遣研修に行っていただきます」  教育委員会の担当者から学校に電話がかかってきたのは、3月中旬のことだった。  私は大学を卒業後、すぐに横浜市立小学校の教諭として働きはじめた。それから20数年間、何度か市内での異動はあったものの、小学校以外の職場で働いたことはない。私にとって、その連絡は晴天の霹靂だった。  と言いたいところだが、予感がまったくなかったわけではない。当時の横浜市教育委員会では、毎年、副校長昇任試験の合格者の

    • たとえ「コスパ」や「タイパ」が悪くても

       昨日は、ある公立小学校の5年生と6年生の授業を参観する機会があった。教科はどちらも国語科である。  5年生の授業は、「データを活用して、環境問題をテーマにした意見文を書く」というものだった。  図書室の本に載っているデータは、その内容に信頼性がある。しかし、出版物の性格上、その数値が何年も前のものであることが多い。  一方、インタネットで検索できるデータについては、即時性がある反面、信頼性が乏しいこともある。  ・・・膨大な量の情報の中から必要かつ適切なデータを選び

      • 「四季」から「ニ季」へ⁈

         最近、学校関係者から気候変動にまつわる話を聞くことが増えた。  たとえば、首都圏にある某小学校では、 「今年の夏は、各学年とも2回しか水泳学習ができなかった」  のだという。  以前はどの学年も5回程度実施していたので、今年はその半分以下だ。理由は、 「暑すぎて、基準となる『暑さ指数(WBGT)』を超えてしまう日が多かったから」  だそうだ。  国や教育委員会では熱中症対策としてこうした基準を設定し、学校現場へ周知をしているのだ。  かつては、 「気温や水温が低くて

        • それは「協働性」なのか?

           先日、ある公立小学校を訪問して、校長、副校長、教務主任、経験15年前後の中堅教員、初任3年目の教員から話を聞く機会があった。  ちなみにこの学校は、 「協働性のある職場づくり」  をモットーに掲げていて、そのことにも話題が及んだ。  5人から語られる「協働的」な職場の姿は、 「お互いに何でも言い合える」 「職員同士の仲がいい」 「職場内の風通しがいい」 「行事や研究などに対して協力して取り組む雰囲気がある」 「学級や学年の枠を超えた連携が見られる」  など、様々だった。

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          「参加型エンターテインメント」や「推し活」としての「選挙」

           斎藤元彦前知事の失職に伴う兵庫県知事選挙では、昨日(11月17日)に行われた投開票の結果、事前の予想を覆して斎藤氏が再選を果たした。  既存のメディアや既成政党にとっては衝撃的な結果だろう。  今回の選挙期間中、兵庫県民の間ではSNSや口コミなどを通じて次のような情報が拡散されていったという。  ・・・これが「真実」なのか、それともある種の「陰謀論」なのか、今の段階ではわからない。だが、この情報が兵庫県民の判断に大きな影響を与えたことは間違いないだろう。  ちなみに

          「参加型エンターテインメント」や「推し活」としての「選挙」

          「相似形」のはずでは・・・

           私が子どものころに通っていた小学校では、担任が教室内に何枚かの児童名簿を貼り、 「挙手をして発言した回数」 「忘れ物をした回数」  などをチェックすることが一般的だった。  「発言回数」の名簿のほうは、挙手して1回発言するごとに「正」の字が1画ずつ書き加えられ、「忘れ物」のほうは1回につき「✕印」が1つずつ増えるというシステムだったと記憶している。  何日か経って、「正」の字が名簿の枠いっぱいに並んだ子には「賞状」が与えられ、「✕」で埋まった場合には「罰掃除」が科される

          「相似形」のはずでは・・・

          「隠れ残業」を生むだけではないのか?

           文部科学省は、教員の残業時間の削減に向けて、各学校の校長の人事評価に「働き方改革」に関する観点を導入する予定らしい。また、教員の在校時間を自治体ごとに公表することも目指しているという。  文部科学省が推進する「働き方改革」については、財務省などからもその効果を疑問視する声が出ていた。今回、人事評価制度の見直しや取組状況の公表を行うことによって、取組に実効性をもたせたいというのが狙いのようだ。  しかし、 ・校長の人事評価に「働き方改革」に関する観点を導入すること ・教員

          「隠れ残業」を生むだけではないのか?

          神は細部に宿る

           知人のW氏が、SNSに映画『ルックバック』の感想について投稿をしていた。  この『ルックバック』は、藤本タツキの漫画を原作にしたアニメーション映画で、今年6月の公開後、大きな話題を呼んでいる。私自身も2か月ほど前に映画館で観た。  ・・・W氏の感想を一言でいうと、 「何がそんなに絶賛されているのか、よく分からない」  である。  その理由の一部を要約させてもらうと、次のようになるだろう。  たしかに、2点目の卒業証書のくだりについては、私も観たときに違和感を覚えた。

          神は細部に宿る

          選挙は「現政権に対する評価」の機会

           先月末の衆議院選挙で、政権与党である自民党と公明党が大幅に議席を減らし、過半数を割り込む結果となった。  その背景には複数の要因があると考えられるが、やはり裏金問題をはじめとする現政権の「政治とカネ」の問題に対して、多くの有権者が「NO」という意思表示をしたのだといえるだろう。  また、「103万円の壁」の見直しを公約に掲げた国民民主党は大幅に議席を増やした。これも、現政権に対する不満が得票につながったと見られる。  今回の衆院選の結果は、  「現政権に対する評価」

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          横浜駅で「ハイビーム」騒動

           今月7日(木)の夜、JR横浜駅のホーム上で「撮り鉄」たちの罵声が飛び交ったという。 ※「撮り鉄」とは、鉄道の写真撮影を愛好する人たちのこと。  この夜、「撮り鉄」たちが待ちかまえていたのは、横須賀線を走る特別な車両だった。この車両は引退が決まっているタイプであることに加え、古いカラーリングを再現したものだったのだ。  この夜に運行するということも急に決まったらしく、SNSによる情報拡散などによって、「撮り鉄」たちが横浜駅をはじめとする撮影スポットに駆けつけたらしい。

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          「それって、英語で言うと・・・」

           今から15年以上前に、私が某公立小学校で副校長を務めていたときのことだ。  小学校の場合、子どもが学校にいる時間帯に職員室に残るのは、空き時間の教員を除くと事務職員などの「級外」と呼ばれる教職員たちである。  この方たちと良好な人間関係を築くことは、副校長にとって実に重要なことなのだ。  幸いにも、私が勤務していた学校の「級外」は人柄のよい方ばかりだったので、1年間の在職中に人間関係で苦労した記憶はない。  だが、一つだけ不満を言わせてもらえば、「笑いの感覚」が私と

          「それって、英語で言うと・・・」

          【読書ノート】アン・ウーキョン『イェール大学集中講義 思考の穴』(ダイヤモンド社)

           この『イェール大学集中講義 思考の穴』は、私たちの心の中に存在する「バイアス」や「思考のクセ」が、どのようにして意思決定や倫理観、社会的行動に影響を及ぼしているのかを伝えている。  著者のアン・ウーキョンは、イェール大学の教授として、心理学や神経科学の観点から人間の「思考の罠」に関する研究や教育を行ってきた人物である。本書はその講義内容を元に構成されたものだ。  本書の主要なテーマの一つは、私たち人間が直感や感情に基づく思考に陥りやすい生き物だということである。  著

          【読書ノート】アン・ウーキョン『イェール大学集中講義 思考の穴』(ダイヤモンド社)

          「いじめの認知件数」とは?

           文部科学省の調査によると、2023年度の小・中学校、高等学校、特別支援学校での「いじめの認知件数」は73万2568件、「いじめの重大事態」の発生件数は1306件と、いずれも過去最多となった。  この調査結果を受けて、こども家庭庁などは「いじめの防止」や「早期発見」「いじめへの対処」など4つのジャンルで、8項目の強化策を取りまとめている。  強化策には、子どもの視点に立った相談体制の充実や重大事態の調査報告書を分析する専門家会議を新たに設置することなどが盛り込まれており、

          「いじめの認知件数」とは?

          怒鳴らないと理解してもらえない?

           近所にある公園の近くを通ったら、ちょうど少年野球の練習をしていた。監督と思しき中年男性が、10数名の小学生を相手にノックをしている。  子どもたちの掛け声やノックの音に混じって時おり響くのは、その男性の 「何やってんだよ!!」  という罵声である。 (何やってんだよって、野球だよね。どう見ても)  そう思って見ていると、再び、 「何やってんだよ!!」  という声が響く。 (だから、野球でしょ。サッカーには見えないから)  ・・・昨年のWBC(ワールド・ベースボール・

          怒鳴らないと理解してもらえない?

          「握った」のかい、「握ってない」のかい、どっちなんだい!

           ゴルフには「握る」という隠語がある。もちろん、クラブを握るということではなく、賭け事をするという意味である。  スコアやティーショットの飛距離など独自のルールを設けて勝負し、金品などを賭けるという意味の隠語なのだ。 「今日は握りますか?」 「握りましょう!」  という会話によって始まるのが一般的で、お互いが賭けゴルフをすることに合意した場合に握手をすることから「握る」という言葉が生まれたらしい。  ただし、日本国内では1円でも金銭の受け渡しが発生したら賭博として違法で

          「握った」のかい、「握ってない」のかい、どっちなんだい!

          赤ちゃんの名前ランキング

           ベネッセコーポレーションの妊娠・出産・育児ブランドである「たまひよ」が、「赤ちゃんの名前ランキング2024」を発表した。  それによると、男の子では「碧」が2年ぶりに1位へ復活、女の子は「凛」が15年ぶりで1位に輝いた。また、男女ともに「藍(らん)」が大幅にランクアップしているという。  ランクインしている名前のなかには、根強い人気を保っているものもあれば、活躍中のスポーツ選手や芸能人などにちなんで命名されたと思われるものも見受けられる。  ただし、男の子のトップ5に

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