574○ 空白
「空白」
持ち合わせていたものは
何一つなかった
知り得る友情は他人の空似で
有り余る財産はただの砂山
空調の効いた部屋で
真っ白な天井をただ見つめて
空というものを現すには
どうしたらいいかと呟いて
また明日になった
美しい雪は窓を叩かず
静かに淑やかに舞い降りる
きっかけは些細なもの
閃きは積み重ね
堪らなくなって飛び出した外には
これからの景色が広がっていて
描けなかった続きが
潤んだ瞳から覗いていた
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NAKAJI
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