絵本ストーリー投稿🍀

お気に入り

今日幼稚園で絵を描いたの

お気に入りの物一つ

隣の席の拓ちゃんは補助輪の取れた自転車

前の席の佳菜ちゃんはリボンやビー玉が付いた

綺麗な髪を括るゴム

先生の声が聞こえる

『可愛い猫ね』 とか

『格好良い変身ベルトね』 とか

先生は私の画用紙を覗き込んだけど

『・・・』  何も言わず

隣の席の拓ちゃんの絵を見て

『上手ね』って言ったの

帰りの時間    ママがお迎えに来た

『優花ちゃんママ少しお時間有りますか』

ママが先生と桜組のお部屋に入って行った

私は幼稚園の前の公園で

ブランコに乗ってママを待ったの

頭の上には雲一つ無い真っ青な空が広がってる

心の中にはもやもや雲が広がってる

ママが来た

『ママも乗っちゃおー』

ママの声は楽しそうで隣でおもいっきり

漕ぎだした

私もママに負けないように力一杯漕いだの

『気持ちいいね  優花』

ママは笑ってる

いつの間にか私の心の中のもやもや雲は

どっかにいっちゃた

『さー帰ろ   帰って夕飯の支度   今日はカレーね』

『うん  任せて』

カレーの日は私お手伝いするの

ママが皮を剥いたじゃがいもににんじんを

私の好きな大きさに切るの

後はママが泣きながら切った玉ねぎと

鶏肉も入れて

少しの油で炒めてからお水を入れて煮込むの

コト コト コト

最後にルーを入れて出来上がり

しばらくしてパパが帰って来た

3人で熱々のカレーをはふはふしなが食べたの

食べ終わったら

『 見て見て  優花が描いた絵』

そう言ってママがパパの目の前に私の絵を出したの

絵を見るなり 

『脳みそだ』

パパは大笑いしながら 私の頭をニギニギニギ

『自分のお気に入りか』

名前の横に書かれた題名を見て今度は私の頭を

ポンポンポン

『そっか  優花のお気に入りは脳みそか』

『うん  私の頭ん中ってね

宇宙人とじゃんけん出来るでしょ

魔法使えるでしょ

ケーキ屋さん  お花屋さん  海賊にもなれるでしょ

南の国でイルカと泳げるでしょ

どこだって行けて何にだってなれるの

それって凄いでしょ』

『凄い  凄い』

パパとママの声が重なった

パパとママが笑ってる

『優花の絵のセンス  凄い 凄い』

又パパとママの声が重なった

あのね

パパとママには内緒なんだけど

私の頭ん中と同じ位好きな物がもう一つ有るの

それは パパとママの笑顔

でもね

次又お気に入りを描く事になっても

描かずにいるわ

だって

きっとパパもママも泣いちゃう

そう思うから

おしまい

#創作 #絵本ストーリー#お気に入り#石川県#ニュイ#カヌレ#マフィン












この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?