縄文人は化石を見て何を思う?
「この発想はどこから生まれたのだろう」
縄文土器のたとえようのない文様に、いつも首を傾げるばかりです。
天空の太陽や月や星、あるいは大地の山や川、草木や生き物、それらが伝えたいメッセージと融合して形となっていくのでしょうか。
時に博物館で化石を見ると、ひょっとするとこれも縄文土器のモチーフになったのかもしれない、と思ったりするものです。
実際はどうであったのか。もちろん縄文人に聞いてみなければ分かりませんが、彼らが化石を手に取っていたことは確かなようです。
これは縄文時代の打製石器。
石を打ち砕いたり剝いだりして仕上げた道具で、ナイフや矢じりなどの役割があったと考えられるものです。
よく見ると上部に魚の骨格のような化石があります。
化石入りの道具。これは偶然の産物であったのかもしれませんね。縄文人はこれをどのように思いながら使っていたのでしょうか。
一方こちらは、
千葉県のマルツノガイという貝を加工したビーズ。
ストローのような形をしたツノガイをこま切れにしたもので、直径はおよそ5ミリ以下。
千葉県ではこのようなツノガイ類の装飾品が多く作られていました。
ツノガイ類は深い海に生息しているため、海岸に打ち上げられた貝殻を利用していたと推定されています。
けれども打ち上げられた貝にはヌメリがあり、当時の石製ナイフで細かく切断することはとても難しかったと思われています。
そこでもう一つの可能性が考えられています。それは、化石となった貝を利用したというものです。
千葉県では海底であった所が陸地となり、化石が多く含まれる地層が点在しています。そこには海底に暮らすツノガイの化石も見つけることができるのです。
化石になった貝は当然にとても硬く、一方で折れやすい。そこで、「縄文人はこの性質を知って細かなビーズを作っていた」という可能性が考えられているのです。
縄文人は化石を道具へ、あるいは装飾品へと、賢く利用していたのかもしれませんね。
私が想像するように、縄文土器の創造の源になることもあったのでしょうか。
参考資料
市原市埋蔵文化財センター コラム「遺跡の深層」037
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