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あなたにピッタリの古典教えます!

「鍼灸師なら古典を勉強しないとダメだ!」みたいな老害鍼灸師も絶滅危惧種になりつつある昨今、皆様如何お過ごしでしょうか。

近頃は学生さんや若手達が小賢しいために古典の道に迷い込むことなく、エビデンスに基づいた鍼灸をなされて結果を出して患者さんの信頼を得る、素晴らしいことですね。

でも本当にそれで良いんでしょうか?

正解らしきものが簡単に手に入ってしまう世の中で、鍼灸師くらいは患者さんと共に悩んで迷って、その上で症状は良くならない。

そういう施術もアリなんじゃないでしょうか!?

ご存知の通り古典を勉強してみたところで何の正解も得れないし、臨床が上手くなることもありません。

だからこそ、だからこそ患者さんと共に悩み、歩める鍼灸師になれるのではないかと思うのです。

今まで古典に興味がなかった方々にとっては、そもそも何から読んだら良いのか?どうやって勉強したら良いのか?そういった所で躓いてしまうと思います。

そこで十数年古典を眺め続けてきた私が、何となく読んでるフリで得た偏った知識でオススメ古典を紹介していきます。

それぞれ簡単な説明と、こんな人が向いてるよ!というコメントを付けていますので是非参考にしてください。


黄帝内経素問

中国最古の医書。著者は黄帝。
篇によって紀元前200年以前に書かれたとされるものから、後200年のものとされるものまであり成立時期は不明。
鍼灸治療に関する具体的な記述よりも陰陽論、五行論に基づく基礎的な医学理論が主。

素問についての解説は、超優秀な先人たちによってやりつくされてしまっている。現在素問を勉強しているという人は、漢字の意味を一つ一つ調べて過去になかったオリジナルの解釈を作ることに情熱を注いでいる。

素問は、陰陽論、五行論を飛躍させて小宇宙である人体に当てはめて悦に入ることができる。突飛な発想力のある方向け。

黄帝内経霊枢

素問と合わせて黄帝が著した。
素問に対して霊枢は具体的に経絡や経筋、治療法が書かれている。

始めに九鍼十二原という篇があり、みなさんが国試のために覚えた九鍼が載っている。
現在霊枢を勉強しているという人はイミテーションの破る鍼で何かを破ろうと頑張っている。

霊枢は、チャンバラやゴッコ遊びを本気で楽しみたい、未だにかめはめ波を撃てると本気で思っている子供心を失っていない方向け。

黄帝八十一難経

扁鵲という伝説上の医師が著したとされていたが、扁鵲は最近では伝説では無かった可能性が微レ存。
黄帝内経の解説書らしいが依然難解。そもそも解説書かも怪しい。

現在難経を勉強している人は、六十九難の理論に従って治療を成立させようと復溜を補い続ける。

難経は、それが正しいのかどうかは別として、お題目のようなものがあると安心する。皆と同じビックウェーブに乗りたい方向け。

鍼灸甲乙経

素問、霊枢、明堂経を合わせて編集し直したもの。明堂経は散逸してしまい、現在明堂経への手掛かりは甲乙経のみ。
現在の教科書に載っているような350穴くらいの経穴が揃う!

著者の皇甫謐は本を読みすぎて書淫と呼ばれていたので、現在甲乙経を勉強しているという人は書淫となるためにフランス書院を読んでいる。

甲乙経は、後世で所属経絡が変わる経穴をドヤりたい原作厨向け。

足臂十一脈灸経、陰陽十一脈灸経

1972年から発掘された馬王堆漢墓という所から出てきた黄帝内経より古い本。
足臂十一脈灸經、陰陽十一脈灸経の他にも脈法、五十二病方などいっぱい出てきた。
経脈が11本しかない。

現在足臂十一脈灸經、陰陽十一脈灸経を勉強してる人は原本の穴あきの部分を埋めようとしている。

脈灸経は、甲乙経では満足できない真の原作厨向け。


まだまだ沢山ありますが、もう私の知識が限界なので以下は向いてる人だけ記すので詳細は興味があったら調べてください。

備急千金要方、千金翼方

アンチ利根川(賭博黙示録カイジ)。

銅人腧穴鍼灸図経

ドーナツ好き。

鍼灸資生経

ハロウィンやクリスマスなどイベントに拘らない方。

鍼灸聚英

カラオケ好き。

鍼灸大成

特に無し。

類経

熟地黄好き。

鍼灸大成と類経は明代に書かれた、それ以前の古典をまとめて編集されたような本なので普通にオススメかも知れません。

ただ長すぎて一生読み終わらない。
浅野先生訳の完訳鍼灸大成は枕に丁度良い厚みで上下2巻。小曽戸先生訳の意釈類経は8巻もあり、本というよりはブックエンド、もしくは本棚のスペースを埋めるための置物です。

さて、数多ある古典のほんの一部を紹介させていただきましたが、気になるものはありましたか?

漢字文化圏で育った私達は、古典を読むのに非常に有利な環境にあります。
もし興味が湧きましたら兎に角、何でもいいので開いてみるのはいかがでしょうか。

1文字ずつ追いかけながら意味を調べることを先輩たちもやってきたと想像すると、私も彼らと同じ轍を歩いているのでは…?と、なんとも言えない『鍼灸師やってんな!』という気持になれます。

その結果上手くもならないし儲かりもしませんが、楽しいですよ!みんなで読んでない奴らにマウントとりましょう!!!

最後に本当に私が最推しする古典は…

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