今回は扁鵲心書より、万能の経穴をご紹介します。
この書籍は南宋時代の1146年に竇材によって書かれました。
この中の黄帝灸法、竇材灸法という2篇に、ある症状に対してどの経穴に灸を据えるか?ということが書かれています。
まず黄帝灸法を原文ままですがご覧ください。
ご覧の通り“灸臍下”ばっっっっかりです。
あとチラホラでてくる中脘と命関。
そうです!この臍下と、あと命関こそが万能の経穴です!
とは言ったものの、まだこれだけでは万能の経穴というには信用できない方もいることでしょう。
次に竇材灸法ですが、竇材は脾と腎を重視し、腎を補う目的で“臍下”(経穴でいうと関元)そして脾を補う目的で“命関”(食竇の別名)を使っているようです。
以下、関元と命関がどれくらい万能であるか篤とご確認ください。
中風の半身不随には関元を五百壯。
傷寒の少陰病に関元を三百壯、太陰病には関元と命関に三百壯。
中風と傷寒に対して2穴で効果があるだけでも万能の経穴と言っても差し支えないですが、続いて見ていきましょう!
あとは訳すのが大変なので、気になるところは各々Google翻訳かChatGPTで確認してください。
読まなくても太字になってる経穴名だけ追ってもらったら大丈夫です!
さて、パッと経穴名を見ていただくだけでも関元、関元、関元、命関、命関、命関、たまに中脘、巨闕、神闕、関元、命関、関元…
と、関元と命関がどれほど沢山の疾患に効果があるかお分かりいただけたかと思います。
最後に経穴ではなく壯数に注目していただきたいのですが、まさかの“三壯”。
私はこれを読みながら、壯数が多過ぎるのは竇材が10単位でしか数えられないのではないか?これは現代の臨床で使うなら10分の1、もしくは100分の1で良いのでは?と甘えたことを考えていました。
ですが、ここで“三壯”と書かれているということは竇材はちゃんと数を数えられるし、三百壯と書かれているものは三百壯据えるべきなのでしょう。
大変申し訳御座いません。
竇材先生の記載通り、厳しく多壯灸を徹底致します。
あと狂った人には灸を据えるべきではないと、据えるなら睡聖散というものを服用させた後に五十壯、覚醒後に再度服用させて五十壯…それでも症状が治まらなかったら…もしかして永遠に続くやつ…?
睡聖散については以下の様に書かれています。
さて、竇材灸法は以上です。如何でしょうか。
ここまで読んでいただけた方なら、関元と命関を万能の経穴と呼ぶことに抵抗は無いと思います。
これで明日からどんな悩みの患者さんが来院されてもこの2穴で対応することができますね!大量の艾を用意して患者さんを迎えましょう!
しかし、これでもまだ万能の経穴否定派の方は居るかと思います。
気持は分かります。
臨床で期待したような結果が出なかった時など、自分の技術や勉強不足という事実を認めたくないが為に鍼灸の可能性を捨てたくなりますよね。
私も壁にぶち当たる度に、こんな鍼と艾なんぞで何をやってるんだという気持になります。
山盛りの艾で患者さんが灰や骨に成るまで燃やし尽くしたところで、改善しないものは改善しません。
それでも!私達が万能の経穴を諦めてしまったら、どうしてもトンデモ医学を信仰したい患者さんたちはどうなるんですか!?
そんな捻くれた患者さんまでも救う安全なトンデモを作るために、私はこれからも万能の経穴を探し求め、鍼灸の可能性を追求し続けます!!!