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手を離せば。

朝、
夢と現実に彷徨う瞼の裏に
夕暮れに生きる蝉の声に目覚める夏の日を見る。

手を繋ぎ導かれたのは何処かの海辺か山の中。
もしかしたら知らない人の家の前。

手を離す前。
最後になるはずの交わした言葉に
絶望も知らず希望もなくただ頷いただけ。

朝、
目を開ければ夢の記憶はなく涙の跡、
涙の跡を辿っても夜明けの記憶もない。

手に残る曖昧な二人からの愛。
生まれて来たけど、生きて来たのだろうか。

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