好きと愛着の違いがわからない
わたしはどちらかというと恋愛体質だと思うし、恋多き女に分類されるのではないかと思う。
かといってワンナイトの経験もなければ、日替わりでコロコロ恋人が変わる、ということでもない。
好かれてから始まる恋愛の方が向いていて、
好いてくれた相手を全力で愛する、といった恋愛をしているように思う。
最近、“好き”ってなんだろうか、ということをよく考えてしまう。
いま、恋人ではないけれど定期的に会う人がいる。
頑張った後、落ち込んだ後、お酒を飲んだ後、
彼のことを思い浮かべる。
会いたいと伝えると会う日程がすぐ決まる。
地震が起きたら無事を確かめる連絡が来る。
かわいいねって何度も言って頭を撫でられて、
恋人にするみたいなキスをする。
でもそれ以上のことはしない。
腕枕をされて、ただただ抱き合って眠りにつく。
彼のことは大切に思っている。
でも、彼が他の女の子にも同じようにしていても、悲しんだり怒ったりはしないと思う。
彼女ができたら寂しいとは思うが、そっと身を引く自分が目に見える。
誰かをただただ大切に思う感情が“好き”ということなのだとしたら、わたしは間違いなく彼が好きだ。
だけどその先に、独り占めしたいだとか、肌を重ねたいとか、そんな感情はない。
これはほんとうに“好き”と呼べるのだろうか。
彼はわたしのことを本当に尊敬してくれていて
ほんとうに敵わない、追いつけないなって言葉を度々口にする。
たまらなく嬉しくなったのに、同時に振られた気持ちになったりして
それは恋愛のフィールドには入れないのだと言われたような
そう思ってからわたしは恋愛のフィールドに入りたかったのだろうか、とまた自問自答する。
褒められてるのに悲しい気持ちになる自分のこともよく分からない。
彼にあなたが横にいるとよく眠れると言われた時は嬉しかった。
彼がわたしに懐いていることをまわりのひとはみんな面白がっているけれど、
プライベートで会うと彼に擦り寄って腕の中に入るのはわたしのほうなのに。
彼がなにか悩んでいて、悩みを打ち明けたくなった時、いちばんにわたしを思い浮かべて欲しいと思った。
わたしはあなたを支えたい。
支えられる手っ取り早い方法が付き合うなのだとしたら、やっぱりわたしは彼と付き合いたいのかもしれない。
ずっと見守ってきたからそう思うのかもしれない。これは愛着なんだろう。
いつ割れても仕方ないと思って使っていた雑貨屋さんで買った高価なわけでもないマグカップだって、使い続けて自分に馴染んだら割れて欲しくはない。
この気持ちの本当の名前が分からない。
「ほんとに俺のこと好きだよね」
と言われて
「うん、だいすきだよ」
と返した。本当に好きだから。
彼はわたしから告白されないようにしているように思う。付き合って、って言われないように。
そのずるさごと包み込みたいなあと思える夜がわたしにはある。きっと彼にはないんだろうけど。
寂しいときに利用してくれたらいいと思う。
わたしはそれでいい。
わたしはわたしで
勝手に会いたいって言うし、
会えたら嬉しいって言うし、
あなたのことをずっと肯定してみせるから。
いつかお互いが必要じゃなくなったときに、涙を流さずに離れられますように。
あなたが毎日、よく眠れる日々を過ごして欲しい。
たとえいっしょに眠る相手がわたしじゃなくても。
あなたが明日への不安を感じずに、眠れていたらそれでいい。
この“好き”はどの“好き”なんだろうか。
わたしはいまだ、好きと愛着の違いがわからない。