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短歌

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2021年3月の記事一覧

連作短歌「葉ね文庫」

連作短歌「葉ね文庫」

葉ね文庫 寄る寄る魔物に名を返す
返し損ねる世界の図書室

音楽家よねずけんしのヤドカリの
宿はここです短歌探して

さんがつの葉ね文庫からのうたごえ
ネオンランプのぼんやりひかる

ラ・カンパネラの前奏を
ふんわり弾くようにして招く歌々

受験生の精神状態

受験生の精神状態

知らずとも デジタルタトゥーに睨まれて 教室の隅女を恨む

目が合っておおよそ君は僕が好き 11月に確かさを得る

のびやかでどうしようもなく迷惑で その優しさにまたのびきって

好きですと短歌なぞる叙情感
その媒体の媒体は布

蜂蜜に群がっていく連続的で惰性的な蟻となります

簡潔な比喩表現など要らぬよな
黒く黒い黒い黒い波

被害者ズラしたくなっていい
am1:23

硝子より 光の通り抜ける

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PONE

PONE

重力加速度の無い世界より
「あっ、今、言の葉が水面に落ちた。」

透青の言葉のように音もせず
指が絡まる 我ら落ち合う

佇むは 水没した町の上
出水ぽすかは何を見ている

妖精とナウなヤングにバカウケの通りすがりのロックンローラー

どうやら食糧側だったから
“1.2の3“のテンポで飛び出して、ほら

思い出も故郷も青も初恋も
全部素敵で砂みたいだ

貴方の作品には正解のない
常にマイノリティー

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あくる日

あくる日

ニコチンの乱れぬ瞳の箱は歪で
明日は誰とそれをひしゃげる

モノクロの雨さえ降れば
七色のレンズから見る空は藍色

いつもより10分遅くの登校で
一人で一人で自転車こげる

近い道より好きな道
遅れなどもはや気にせぬ登校ポリシー

並びおる自転車確認
体育の先生見つけて気まづくなりぬ

第一に朝日差し入る窓辺から見えし風景 紅一点

like a fire 朝日ともみじ
8:40に透明な風一つ

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