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ボナパルト家を取り巻く女性たち - オルタンス編《5》2組の離婚
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久々の連載再開。全11話になりそうです。
今回は5話目。あと6エピソードあります…
◆これまでのお話
ナポレオンの妻ジョゼフィーヌの娘として生まれたオルタンス。
彼女はジョゼフィーヌと前夫との間に生まれた子なので、ナポレオンとは義理の親子という関係でした。
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オルタンスは年頃になって恋人が出来ますが、両親の圧力でナポレオンの弟ルイと結婚させられます。
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この婚姻には、ナポレオンとの子供を産めない自分に代わって娘にボナパルト家との結びつきを強めて欲しい、という母ジョゼフィーヌの意向が強く働いていました。
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やがてナポレオンは皇帝に、ルイはホラント(オランダ)国王に。
オルタンスは王妃としてオランダについて行きますが、もともと夫と不仲な上に母や友人とも離れてしまい、悲しい日々を送っていました。
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支配を強めるのが目的でした
更に悪いことに、長男がオランダで病死。
すっかり元気を失くしたオルタンスはフランスに戻ります。
そこでナポレオンの援助を受けながら、母、次男と暮らし、のちにパリで三男を出産しました。
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しかし夫からの手紙は相変わらず冷淡な内容で、オルタンスはもうこれ以上夫婦生活を続けられないと嘆くのでした。
◇
オルタンスの人生は
起・承・転・転・転・結という感じなのですが
今回の記事は1回目の「転」辺りです。
↓今までの話、詳しくはこちら↓
第1話: 我慢の子と破れた靴
第2話: 不本意だった母の再婚
第3話: 初恋と結婚
第4話: 出産、そしてホラント王妃へ
◇
三男の誕生から1年経った1809年。
ここで一度ナポレオンの動きを見てみます。
この年の9月、彼は愛人から自分との子を妊娠したことを知らされます。
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マリア・ヴァレフスカ
ジョゼフィーヌとの結婚から13年あまり。
一向に子供に恵まれず悩んでいましたが、愛人の妊娠で俺は子供が作れる!と自信をつけ、ジョゼフィーヌとの離婚を決意します。
◇
ナポレオンは初めオルタンスの口からジョゼフィーヌに離婚を伝えて欲しいと頼みますが もちろん断られ、仕方なく自分から切り出しました。
離婚を聞いたジョゼフィーヌは動揺のあまり気絶してしまい、オルタンスと医師が付き添ったそうです。
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ジョゼフィーヌ
◇
1810年1月に最終的な離婚式が行われました。
ジョゼフィーヌは離婚後もお気に入りのマルメゾン城に住む事を許され、離婚の儀式が行われたテュイルリーを後にしたのでした。
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そんなに遠くない距離です
◇
ナポレオンは、それから3ヶ月と経たない4月1日にオーストリア皇女マリー・ルイーズと再婚しました。
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◇
一方のオルタンス。
普通に考えると、ナポレオンとジョゼフィーヌが離婚したら、母ジョゼフィーヌのそばについて支えて行きそうな気がします。
しかし当時彼女は子供と共にパリに居て、ナポレオン再婚の儀式に参列していました。
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この辺の足取りがはっきりしないのですが、どうやら母の離婚後 病弱な三男はパリに残し、次男と共に一旦オランダのルイの元へ行ったようです。
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しかし数ヶ月でルイとの生活に耐えられなくなり、春ナポレオンが再婚する前のタイミングでパリに戻ったと考えられます。
次男は、(恐らくルイの希望で)オランダに残りました。ここだけ頭の片隅に留めて頂ければ大丈夫です。
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◇
それにしても何故母と別れた義父の再婚に立ち会っていたかと言うと、ナポレオンから後妻マリー・ルイーズの世話役を頼まれたから。
ナポレオンとしては、元妻と別れてもその子供は自分に従順である という事を国内外に示すのが狙いでした。
◇
ではナポレオンは何故こんなアピールをしなければいけなかったのでしょうか?
ひとつは、パリに住む大勢の人間がナポレオンの離婚を大いに嘆き、ジョゼフィーヌに同情したから。
(パリ〜ジョゼフィーヌが住むマルメゾン間の道が、行列のような騒ぎだったと言います)
もうひとつは、彼が皇帝の力でせっかく高い地位につけてやった親族達が言うことを聞かなくなっていたからでした。
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例えば(義)姉妹達はマリールイーズの介添人をこぞって拒否。
最終的には渋々同意したようですが、この絵を見るとちゃんと仕事をしているのはオルタンス(水色のドレス)とその隣の1人だけで、あとの2人は明らかにサボってますよね…
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左から: オルタンス、カロリーヌ(ナポレオン妹)、
ジュリー(ナポレオン兄の嫁)、
カタリーナ(ナポレオン弟の嫁)
と推測されています
◇
そしてナポレオンの弟にしてオルタンスの夫ルイもまた、兄の支配に反発していました。
ナポレオンは1806年に自身が征服した国に向けて宿敵イギリスとの貿易を禁止する大陸封鎖令を出します。
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Alexander Altenhof • CC BY-SA 3.0
しかし、ルイが治めるオランダは商人の国。
イギリスとの貿易を禁止されたら大打撃です。
そういった訳で、ルイはこの封鎖に従いませんでした。
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他にもあれこれフランスと揉めたためナポレオンを怒らせ、ついにフランス軍がオランダに攻めてきます。
壮大な兄弟ゲンカになるかと思いきや、ルイは共にオランダにいた5歳の次男に王位を譲ると宣言して亡命。
1810年7月1日のことでした。
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◇
結局オランダはこの8日後フランスに併合された為、次男は理論上8日間だけ王位についていたことになります。
またこのルイの亡命によって、ルイとオルタンスは正式に別れたと解釈されるようです。
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◇
続きます。
ようやくルイとの別離を果たしたオルタンス。
なんと4度目の出産をします。
参考
・VERSAILLES AND MORE
《 Empress Marie-Louise’s wedding gown 》
・Wikipedia
・Queen Hortense: A Life Picture of the Napoleonic Era