人物史season2. 序章 | ナポレオンすごいぜ!
当noteでは、これまで人物史として19世紀半ば〜終わりにかけて生まれた女性を6人扱ってきました。
☟6人の関係まとめはこちらから☟
今回からは少し時代を巻き戻して、
舞台も少し南に移して。
19世紀頭に生まれたこの方↓を取り巻く女性達の話を書いていこうと思っています。
この方はナポレオン3世。
あの有名なナポレオンの甥御さんです。
↓大雑把に図にすると、こんな感じ↓
ちょっと複雑な家系図なのは置いといて、早い話が初代ナポレオンの弟の息子ですね。
このナポレオン3世、名前からしてお察しなんですけど
「あなたはあのナポレオンの血を引いてるのよ!」
と母親に叩き込まれて育ちます。
そんな訳で、生涯 偉大すぎる伯父に振り回された印象がある人物です。
◇
それにしても、「ナポレオンはすごい人」って「エジソンはえらい人」並みに当たり前の事かもしれませんが、どんな所がすごかったのでしょう?
「"あの" ナポレオン」で強引に話を進めても良かったのですが、具体的にまとめてみました。
たぶん当たり前の事ばかり書きますが、私と同じように「そう言えばナポレオンって何がすごいの?」と思った方は、一緒にお付き合い頂ければ嬉しいです。
◆ここがすごいよナポレオン
☝︎ざっくり3点にまとめてみました。
順にエピソードを交えて見ていきましょう。
軍事的センスがすごい
ナポレオンは、通常卒業まで4年ほどかかる陸軍士官学校を1年足らずで卒業してしまいます。
これは開校以来の快挙だったそう。
卒業後はフランス軍に入隊します。
当時のフランス軍は、フランス革命を受けて
国内では王党派(王政を支持する層)
国外では王政を守りたい列強各国
と戦わなければなりませんでした。
しかしそのような困難な局面にありながらも、ナポレオンは見事な策略を用いて勝利を連発。
革命軍の強さを国内外に知らしめ、軍の中でも順調に出世していきます。
↑
からの、
ナポレオン全盛期のヨーロッパ地図
(赤線内が何らかの形でフランスに支配された国)
↓
リーダーシップがすごい
ナポレオンがこのように連戦連勝を果たしたのは、その巧みな軍事作戦が功を奏したのもあるのですが、もう一つ。
兵士たちを鼓舞する力に長けていたのです。
ナポレオン語録を一部ご紹介します。
…思わずついて行きたくなるカッコいい台詞ばかりですね!
◇
こうしてナポレオンはカリスマ性を強め、革命でゴタゴタなフランスで軍事クーデターを起こします。
そして遂に政治的にも独裁権を握るのでした。
マネジメント力がすごい
さてナポレオンは政権を握った後も活躍を続けます。
1800年にはフランス銀行を創設。
過去の王族の浪費や戦争、革命でめちゃくちゃになった財政状況の立て直しを図ります。
また教育、交通網の整備を行なったり、「ナポレオン法典」を公布して"法の前の平等"、"信教の自由"、"経済活動の自由"などを定めました。
◇
ただ独裁者に対しては反発も大きくなるのが世の常。
ナポレオンは自身への反発に対抗する為、独裁色を強めます。
やがては皇帝になり更に権力を強めますが、その後の戦いで敗北を連発。
強引な支配も災いして、最後には絶海の孤島への島流しに遭い、そこで生涯を終えました。
◇
とは言え、革命中のフランスに彗星の如く現れ、後世に影響を与えるに十分な功績を残したのは紛れもない事実。
そして、初めに述べた通り、その子孫まで彼の栄光に振り回されることになるのでした。
◇
次回からは、ナポレオンの最初の妻・ジョセフィーヌの話です。
彼女の奔放さもまた脈々と子孫に受け継がれ、面白いキャラクターを生み出してくれます(笑)
◆おまけ
(おまけという名の長〜〜い蛇足です)
ナポレオンという名前は、国を超えてこんな所にも広がっていました。
ナポレオンパイ
銀座マキシムで有名なナポレオンパイ。
日本ではイチゴのミルフィーユの代名詞として使われていますが、実は元々ミルフィーユ全般を指す言葉なんだそう。
由来は、フランスのパティシエがナポリの菓子職人にミルフィーユの開発を命じ、「ナポリの」を意味するナポリタンから いつの間にか有名人のナポレオンになったと言われています。
日本人的には、ケチャップ味のスパゲティと混同しないよう「ミルフィーユ=ナポリタン」にならなくて良かったのかも⁉︎
ABBA 「恋のウォータールー」
昔の曲ですが、スウェーデンのポップスグループ ABBAの曲に「Waterloo(邦題: 恋のウォータールー)」という曲があります。
これは恋する相手に身も心もやられてしまった様子を、ナポレオンがワーテルロー(英語読みでウォータールー)の戦いで大敗を喫した事になぞらえた歌詞になっています。
動画はこちらをどうぞ
(該当の歌詞は冒頭に出てきます)↓
ホームズとナポレオン
ナポレオンが活躍した後に書かれた『名探偵ホームズ 最後の事件』に登場する、元数学教授でありながら数々の犯罪を成し遂げたモリアーティ教授。
彼はホームズをして「犯罪界のナポレオン(Napoleon of crime)」と言わしめます。
ご存知の通り、ホームズはナポレオン最大のライバル国・イギリスのロンドン在住。
作者のコナン・ドイル的には「悪名高い」の意味で使った言葉かもしれませんね。
◇
更にそこから着想を得て書かれたキャラクターが、同じイギリス生まれのT・S・エリオットによる『キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法』という詩集に登場します。
この中に出てくる犯罪者猫マキャヴィティは、モリアーティ同様「犯罪界のナポレオン(Napoleon of crime)」と表現されています。
◇
さて『キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法』だと何のこっちゃかもしれませんが、ミュージカル "キャッツ" の原作というとご存知の方が多いかもしれません。
(私も大好きなミュージカルです!)
劇団四季でも上演されていましたね。
こちらは英語版ですが、5:24あたりで ”Napoleon of crime” というフレーズを聴くことができます。↓
おまけという名の余談が長くなりすぎました。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。そして、お疲れ様でした!
参考
YouTube: 世界見聞録
(とても分かりやすくコンパクトにまとめて下さっていたので、何度も見て参考にしました!)