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2023.0705 言語の本質 今井むつみ 秋田喜美を読んで

気になった言葉
言葉の意味を本当に理解するためには、丸ごとの対象について身体的な経験を持たなければならない

例えば、「正義」、「愛」、「迷惑」といった名詞は特定の感覚によらない意味を表す。一方、これらの意味を表すオノマトペというのは、日本語でも他言語でもなかなか見つからない。これらの概念は、音で真似るには抽象的すぎるのであろう。

nから始まるオノマトペは、遅い動き、あるいは滑らかさ粘り気のある手触りという意味を取り出せそうである

犬の鳴き声には、子音としては、w,b,m,fなどの唇が関わるものが多く、母音は大きめに開く…
→音と感情(黒川伊保子)

それ以前にもヘレンは、モノを手渡されるそのときどきに、サリバン先生の指が別々の動きをしていることに気づいていた。しかし、彼女が手で触れるサリバン先生の指文字の形がその対象の「名前」だということに気づいていいなかった。
すべてのモノには名前があるのだという閃きを得た。その気づきが、身の回りのモノや行為すべての名前を憶えようとするという急速な語彙成長、「語彙爆発」と呼ばれる現象につながる。
→ソフトウエアの導入で起きる「要求爆発」は、憶えようという気持ちから

意味を知っている言葉を一つも持たない子どもは、まったく意味のない記号を使って新たに記号を獲得することはできない。言語と感覚とのつながりを全く知らない子どもが、辞書を引いて言語を学習することは不可能である。
→技術の習得も同じ

最初の一群の言葉が身体に接地していればよい。

言語が進化していくと、それぞれの概念をより精密に分類したり区別しようとする力が働く

最初の端緒となる知識が設置されていれば、その知識を雪だるま式に増やしていくことができるブートストラッピングサイクル

「教えてもらったことの暗記」とは全く異なる。今持っている資源を駆使して、知識を蓄える。同時に学習した知識を分析し、さらなる学習に役立つ手掛かりを探して学習させ、さらに効率よく知識を拡大していく。その背後にあるのがブートストラッピングサイクル

アブダクション推論は、観察データを説明するための仮説を形成する推論

機能推論とアブダクション推論は、絶対に正しい正解が決まらない推論。
だから、新たな知識を創造するのだ。

因果関係を認識する(というより、その必要がなくても原因を推測してしまう)

対称性推論をごく自然にするバイアスがひとにはあるが、動物にはそれがなく、このことが生物的な主として言語を持つか持たないかを決定づけている。
対称性推論:原因と結果をひっくり返す推論
赤い積み木=◇、黄色い積み木=〇
積み木を指示して、記号を取らせること。反対に、◇を指示して赤い積み木を取らせるこができるには、対称性推論が働いている

よくあるのは、必要条件と十分条件をひっくり返すこと。
今日は雨だから長靴を履く。…私が長靴を履いたから、今日は雨…

アブダクション推論は間違った結論に至る可能性がある。しかし、誤りを修正することで、物事の理解は深められる。


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