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【デザインあ展:子どもたちに「工夫の種」を渡したい】
今日は3月11日なので、未来につがなる話を。
参加イベント名:デザインあ展
行った日:令和2年1月12日(日)
開催場所:佐川美術館(滋賀県守山市水保町北川2891)
奥さんが、どうしても行きたい、子供に見せてあげたい、と言うので、車に乗って琵琶湖大橋を渡り、湖東の佐川美術館に家族で行った。
正直行く前は、NHKのイチ番組について展覧会開くほどのもんかい、という意識でいたが、
それが大変な認識違いであることに行ってから気づいた。
結論的には、これは大変良いもので、とても大げさに言うと、全人類の認識のボトムアップを図れる可能性すら秘めている(と思う)、素晴らしい展覧会であった。理由は後述。
展覧会が近くで開催された場合は、ぜひご家族で行ってほしいし、番組も可能であれば見てほしい(子供に見せる、というだけでなく、大人が見ても充分学びがある)。
理由は、「考えて工夫することの価値・効果」を体験的に知ることができるから。
例えば以下のようないろいろな事を、非常にわかりやすく、かつ楽しく伝えてくれる。
・階段の横に曲がりくねったスロープがあるのはなぜか。
・引っ越し屋さんが大きい荷物から先にトラックに積み込むのはなぜか。
・お湯ポットと掃除機のコンセントの形が違うのはなぜか。
・高い柘植の櫛と、100均のクシは何が違うのか。
・なぜ服を着るのか。
これ、すごいよ(語彙力)。
今は大変便利な世の中になっているんだけど、その便利を支えているのはICT系のスーパーテクノロジーだけではない、
ちょっとしたアイデア、デザインの工夫で、劇的に便利になっている事がたくさんある。様々な「それは、なぜか?」を視覚的に、肩肘張らずに知ることができる。
そして、構造・デザインが工夫されていない場合にどのような不具合が起きるのか?も併せて知ることができる。
なぜ今、こうなっているのか?
そして、これから改善の余地はないのか?
特に、土木や建築等、人が関わる仕事に従事している人には、全員見せたほうが良いくらいの内容ではないだろうか。
極端な話、「高齢者・障害者に優しいまちづくり、バリアフリー研修」を10回受講するより、
デザインあ展に1回行ったほうが余程効果があると思う。
例えば、バリアフリー法(正式名称:高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)では、「歩道の勾配は2%以下(透水性舗装の採用などにより排水が図れる場合には、車いすなどの通行を考慮して、横断勾配を1%以下)」としているけど、
はっきり言ってそれは文字と数字でしかない。
対して、デザインあ展では「うごきのデザイン」というコーナーがあって、
実際に、重い荷物を持った人が勾配のついた道を上るのに、どのような工夫をすれば、与えられた条件の中で最も適切な効果を発揮することが出来るのか、
を、見て知ることができる。
(加えて、このコーナーのナレーションは笑い飯なので、非常に面白い)
また、最近のデザインだけでなく、古くからあるデザインの合理性、についても知ることができる。
例えば、神社とかでよく見る「三つ巴」の紋 ↓とか
水戸黄門で「この印籠が目に入らぬか!」とやってる徳川家の「葵紋」↓とか、
これ、円「だけ」を組み合わせて描いてるって知ってた!?
僕は、絵のうまい職人さんがお手本見ながら描いてるんだと思ってました。
なんと、すべてコンパスだけで描いてるんです。
円を組み合わせて作れるようにしたことで、ある程度の技術があれば、誰でも全く同じデザインが、大量に作れるように工夫しているんだなぁ。
(技術がいらない、という意味ではない。念のため)
過去も現在も、世の中をより便利に、より多くの人にやさしくするためには、「思いやりの心」とかも当然大切なんだけど、
「デザインの工夫」を使ってできることがある。
例えば、ベビーカーを一緒に持ち上げて階段を上ってくれる人が居るのは素晴らしいことなんだけど、
そもそも、ベビーカーを持ち上げなくても移動できる空間であればいいよね?
今の暮らしの中にも、たくさんの工夫があって、
もしかしたら、もっと工夫することでもっともっと良い世の中にできるかもしれない。
その工夫の種を、子どもたちに(もちろん大人たちにも)そっと渡すことができる。できるかもしれない。
世の中を、より良く変えられるかもしれない。
デザインあ展、大変良かったです。
あなたの街にやってきたら、ぜひ参加のご検討を。
※ちなみに、僕は「デザイン問答」のコーナーが一番好きです。平泉成さんの声が最高。