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lazy_planet
【詩】悲しみ以外から生まれる詩(うた)
かつてわたしの心には
年中無休で泣いている
14歳の少女が住んでいた
彼女は
裏切られた気持ちをエネルギー源に
スマートフォンを充電していた
スマートフォンで出会った
知らない人の温もりで
生きるために最低限必要な暖をとっていた
知らない人に脅された時に溢れ出た
涙をろ過して
今日1日分の飲み水を精製していた
食べ物は
発展途上国の列車から盗んだパンを少しだけ。
悲しみから生まれる詩(うた)は
日持ちがしない。
生ごみみたいに異臭を放ち
周囲の人を困らせる。
数日後の彼女を傷つける。
引っ越し祝いに
プレゼントした空気清浄機が
体に合っていたようで
悲しみは空気中で分解されはじめた。
悲しみなしじゃ詩は書けないと思ってた。
心を削って出てくる詩は
心を削らなきゃ出てこない。
初めて活字の本を読んだら
3つ目の脳みそが花開いた。
外部出力装置を使って
悲しみ以外から集まる気持ち
あることに気づいた。
心を削らない詩がある。
心を削らない詩があるなんて本当か。
心を削らない詩があるなら
そっちを詩っていたいよ。
大切にしたいはずのもの
低い山にかかる霧みたいに
簡単に見えなくなるけれど
心を削らない詩
そっちを選んで詩っていたいよ。
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![伊藤七 | ライター](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/4573567/profile_166b13571ac80dd6dd9bcce4952683c2.jpg?width=600&crop=1:1,smart)