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「クローン文化財」が降臨した小さな美術館

 セレネ美術館は、富山県の黒部峡谷の袂、宇奈月温泉郷にあります。トロッコ列車の「宇奈月温泉駅」の近くです。普段は平山邦夫画伯たちが描いた黒部峡谷の絵を展示しているのですが、この夏、クローン文化財降臨展をしていました。家族旅行で立ち寄り、その完成度の高さに感嘆しました。

☆クローン文化財降臨展

 まさか宇奈月温泉で、ホンモノそっくりの名画や法隆寺の仏さまに会えるとは。その精巧さにびっくりしました。

 2階で名画を観たあと、3階では、館長さん自らが法隆寺金堂釈迦三尊像の現状再現(クローン文化財)、法隆寺金堂釈迦三尊像(ハイパー文化財)、法隆寺金堂壁画(スーパークローン文化財)について、説明してくれました。

 クローン文化財・・・文化財の現状の姿を高精密かつ忠実に再現。

 スーパークローン文化財・・・劣化や欠損を補完し、当初の姿を再現または消失した文化財を復元したもの。

 ハイパー文化財・・・政策当時における技術や材料などの制約から解放し現代科学技術で創造された作品。

富山県高岡市や南砺市の職人たちが、東京藝大COI拠点(クローン文化財を研究開発)に協力して完成した法隆寺金堂釈迦三尊像の現状再開や、未来の姿として創造されたガラスによる釈迦三尊像などが展示されており、実物大なので、迫力ありました。


ローヌ川の星月夜

 わたしの好きなゴッホの絵です。オルセー美術館所蔵の絵とそっくりな絵を富山で観れるとは。

 地元の人らしい、小さな子連れの親子も、凄い、凄いと声をあげていました。ホンモノにほぼ近いこれらの絵が、富山にいながらにして鑑賞できるというのは画期的であり、技術の進歩に感謝でした。最新技術によりまさに遺伝子レベルから再現したクローン文化財の28点の作品。未来へと遺してほしいです。


名所江戸百景大はしあたけの夕立

 歌川広重の絵もありました。角度と濃さの違う2種類の線で、雨滴の強弱やスピード感を表現した方法は、西洋においても「ジャポニズム」の代表作として画家たちに多大な影響を与えました。ボストン美術館所蔵の絵。

 歳月による劣化を補い、描かれた当時の絵を遺伝子レベルで遺すという取り組み。未来の子どもたちへという思いは、小さな美術館からも広がっていきそうです。

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