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わたしの本棚152夜~「鈴木しづ子100句」

 元船団の会の武馬久仁裕氏よりご恵贈いただきました。ありがとうございます。10年ほど前に、俳人鈴木しづ子氏に関しては、調べて文章を書いたことがあって、その時、自分を投影したような俳句には痛々しさを感じて哀しくなりました。

 町田康先生の著作「私の文学史」(NHK出版新書)のなかに、「おもろい詩の四条件」というのがあります。この捉え方が好きで、詩だけでなく、俳句にもあてはまると思っています。おもろい詩の四条件とは・・・。

 ①感情の出し方がうまい・・・共感、反感などを読者に与える

 ②リズム・・・調子でもっていく

 ③そいつ自身が面白い

 ④詩の中の内容が正しかったり、役にたったりする(人生訓的)

今までの鈴木しづ子の俳句の鑑賞は、①と③が多かったと思います。戦後まもなくのころの不貞や黒人ダンサーとの結婚など自分の人生を詠んで、共感や反感を得たりでした。ところが、この本では、②を中心として、鑑賞していきます。彼女の人生にはあまり触れず、俳句そのものの鑑賞が中心です。

☆「鈴木しづ子100句」武馬久仁裕、松永みよこ著 黎明書房 1870円(税込み)

 元船団の会の武馬氏と松永氏の共著です。しづ子の山口誓子への憧れ、ひらがなの美しさなどへも言及していきます。好きな俳句5句です。

 古本を買うて驟雨をかけて来ぬ

 コスモスなどやさしく吹けば死なないよ

 空き箱に絲など容れて春めくか

 早梅やひとより多き希ひごと

 好きなものは玻璃薔薇雨驛指春雷

#鈴木しづ子100句 #武馬久仁裕 #松永みよこ #黎明書房

#読書感想文


 

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