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都留アルプス ♣マイナー登山道を往く♣(0005)

富士山や三つ峠の眺望が楽しめるのんびりハイキングコース。山梨県東部の都留市中央部にある丘陵地帯を南北に歩く縦走ルートです。 


<趣意>
あまりメジャーではないマイナーな登山道。ちょっと気になってはいたもののなかなか行く機会のなかった山道を歩いてみました。

都留アルプス稜線から見た三つ峠

<概要>

山岳名: 都留アルプス (つるあるぷす)
所在地: 山梨県都留市。 
大月から河口湖の間に位置する丘陵地帯。
地元住民や団体などの有志により開発・整備された縦走コース。全長約8km。
いわゆるご当地アルプスのひとつ。

<都留アルプスの魅力>

まず、1番の魅力は駅から歩いて簡単にアクセスできるハイキングコースというところでしょうか。 
思いのほか登降もあり歩き応えもあります。 エスケープルートも設けられていますので、歩行時間の長短は数パターンに設定することができます。
乗降する駅やどこのポイントをメインにするかで目的ごとに柔軟にコースを設定できます。

次に、三つ峠の眺望も優れていると思われます。
「パノラマ展望台」とされているポイントからは、正面方向(西側)に三つ峠の姿がよく見えます。 とくに垂直に切れ落ちたような屏風岩の断崖の様子がはっきりと分かり、印象に残ります。

また、都留は湧水の里ともされており、ハイキングコースの周辺にはいくつもの渓流や滝などの名所があります。 代表的なところでいいますと「おなん淵」「蒼竜峡」「田原ノ滝」「太郎次郎滝」などがあります。

 

<登山コース>

※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
富士急行線「都留市」駅を起点に都留アルプスのルートほぼ全般を歩き、同線「東桂」駅そばへ下りるルート。今回はあわせて十日市場・夏狩湧水群を訪れます。

都留市駅駅舎
谷村発電所のお手製の看板

富士急行線「都留市」駅から出発です。 「都留市」駅はピンク色の駅舎がちょっと可愛らしい。ただ少しくすんでいます。
駅前の道路を大月駅方面へ戻るようにして進み、寿町交差点を右に曲がると、都留アルプスの指示標があります。
国道139号線(富士みち)を渡ると山の斜面が近づいてきます。
東京電力の谷村発電所があり、その脇に手製の道標「富士山展望台」が掛けられていますのでその坂道を上がっていきます。

発電所の導水管
貯水プール
富士山展望台

水力発電の導水管(?)の横を登り、上にある貯水プールまで来ると、いよいよ都留アルプスの起点にさしかかります。 右手は富士山展望台、左手は都留アルプスになります。
いったん富士山展望台へ向かいます。 鉄塔を通り過ぎると展望台です。 手前の山塊の向こうに富士山の白い頂がぴょこんと頭を出しています。

貯水プールの分岐点に戻り、今度は都留アルプスのハイキングコースに入ります。 コース始めの斜面を上がっていくと烽火台跡に着きます。
このあたりは戦国時代は甲斐武田氏と相模北条氏の係争地でしたので、敵方の侵攻があった場合の連絡用の狼煙を上げるための場所だったのでしょうか。 見晴しがいいのでいまは大型のアンテナが構築されています。

ハイキングコースは稜線上をまあまあの起伏となだらかな道を繰り返していく典型的な縦走コースという印象です。
この先は小ピークを越えていくとパノラマ展望台に出ます。 

パノラマ展望台からの三つ峠

パノラマ展望台からは三つ峠の山容が正面に見えます。 三つ峠は顕著なピークというよりも横に広がった姿をしています。 左側のやや垂直的に切れ落ちた部分が屏風岩になります。

パノラマ展望台から一気に下りていきます。 谷底まで下りていくと、コンクリート製の水道橋が見えてきます。 「鍛冶屋坂水路橋」(ピーヤ)と呼ばれています。 なかなか歴史を感じることができる雰囲気です。
ピーヤのそばには神社があり、ここから市街地へ出て行くこともできます。
都留アルプスは要所に、市街地へ出て行くことができるエスケープルートがいくつも用意されています。

ピーヤからふたたびハイキングコースを進みます。 道標の「元坂・楽山・古渡方面」を目指します。
この先、背丈の高い笹竹の道を通り抜けていきます。
ハイキングコース全体が里道に近いので、いくつかの生活道とみられる分岐がありますが、道標が丁寧に設置されていますので迷うことはあまりないかと思われます。

三つ峠
大菩薩嶺方面でしょうか

東屋の先をすこし上がっていきますと展望が開けたポイントに出ます。 ここでもふたたび三つ峠がきれいに見ることができます。 また大菩薩嶺方面などの山並みも望めます。

千本桜植栽地

さらに登り坂を詰めていきますと千本桜植栽地と呼ばれる場所へやってきます。 桜はまだ植えられてそれほどの年数は経過していないのでしょうか、花が咲くまで育つのはまだまだ先のようです。

ミツマタ群生地

さらにハイキングコースを進んでいくと、やがてミツマタ群生地に辿り着きます。 鉄塔そばの斜面に数多くのミツマタがありました。 このときはまだ咲く前でしたが蕾が大きくなっていました。

楽山球場

ミツマタ群生地を過ぎると楽山球場のすぐそばまで下りてきます。 さらにハイキングコースを歩いて行きます。 写真撮影時はちょうど直前に春先の降雪があったので雪が残っていました。 雪面に動物の足跡がいくつも残っていました。 タヌキ?でしょうか、それともイノシシ?でしょうか。

鉄塔をいくつか通り越すと、桂川のすぐ近くまでいったん下りてきます。 「クレインの森」と名付けられ整備された広場に出ます。 川を挟んですぐ向かい側に車道がありますが、ここで終わりではありません。 ハイキングコースはまだ続きます(というか、ここから車道に出ることはできないようです…)。

ふたたび登り鉄塔にまた出ます。 その先が古渡山になり、ここに住吉神社があります。 神社をあとにして鹿除けのゲートを通り抜けると、もうすぐハイキングコースも終了です。

住宅街に出て、桂川を渡り、流れを下っていくと「おなん淵」に出ます。 住宅街の中であり、すぐそばに車道(国道139号線や中央自動車道)が走っているのですが、なかなか見応えのある渓流の趣があります。

国道139号線に出て、左手(西側)に行けば富士急行線「東桂」駅となります(徒歩15分くらい)が、今回はもうひとつの目的地である「田原の滝」を目指します。 右手(東側)へ進み、十日市場駅をすこし過ぎると139号線のすぐそばに田原の滝が出てきます。

田原の滝が今回のゴールです。
ここから来た道を5分ほど戻れば富士急行線「十日市場」駅です。

[行程表]

※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
「都留市」駅→ 谷村(深田)発電所(20分)→ 富士山展望台(15分)→ 烽火台跡(30分)→ パノラマ展望台(60分)→ 鍛冶屋坂水路橋(ピーヤ)(20分)→ 元坂(20分)→ 千本桜植栽地・楽山公園分岐(40分)→ 尾崎山分岐(30分)→ ミツマタ群生地(30分)→ 楽山球場分岐(15分)→ 尾崎山分岐・鉄塔(50分)→ 古城山・住吉神社(40分)→ おなん淵(15分)→ 田原の滝(30分)
コースタイム/ 約6時間30分
標高差/ 

[登山コースの補足]

意外に登降が多かったり急な斜面も何カ所かあります。
パノラマ展望台からは三つ峠と屏風岩の外観がよく分かります。
今回ご紹介したコースの途中には稜線から麓へ下りて市街地に出ることができるエスケープルートがいくつかあります。
●水場やトイレなど
登山道の途中に水場はありません。
登山道の途中にトイレはありません。

[難易度・危険箇所など]

とくに大きな難所や危険箇所はほとんどありません。 

[アクセス]

●往路
富士急行線「都留市」駅から徒歩。
●帰路
富士急行線「東桂」または「十日市場」駅の各駅まで徒歩。
《参考》
JR新宿駅から大月駅まで約1時間45分(中央本線快速)、大月駅で富士急行線に乗換で「都留市」駅まで約17分。
朝にはJR「高尾」駅発で大月駅乗換なしの河口湖駅まで直通電車あり。
大月駅にはJR中央本線・特急「かいじ」が停車(特急「あずさ」は通過する便もあります)。

[国土地理院地図]

都留市駅

[コースマップ]

都留アルプストレイルコース (都留市)

<こんな方にオススメ>

(1)気軽にプチ縦走気分を楽しみたい
(2)中央線沿線やその周辺の山域でハイキングがしたい
(3)花を観望することができる山へ行きたい



<補足情報>

[売店等]

「都留市」駅前にコンビニエンスストアがあります。
「東桂」駅近くにコンビニエンスストアがあります。
登山道上には売店などはありません。

[お食事処]

「日本一硬い!?富士吉田名物・吉田のうどん特集」 (富士吉田市観光ガイド)
富士急行線沿線には「吉田のうどん」のお店がいくつもありますが、だいたいはランチ営業のみで14時か15時には店終いし、また麺がなくなり次第終了というスタイルが多いです。
「じねんじょ亭」 (富士の国やまなし) 都留市駅/自然薯の専門店
「信玄 大月店」 (食べログ) 大月駅/ほうとう等
「濱野屋」 ※公式サイト 大月駅/ほうとう等

[入浴施設]

「より道の湯」 (都留市駅)
「芭蕉 月待ちの湯」 (都留市駅)

[名産品]

桔梗屋東治郎 (大月市観光協会) 大月駅/「信玄餅」のメーカー・販売店
厚焼木乃煎餅/栄月製菓 ※公式サイト 大月駅
すがや製菓 ※公式サイト 都留市駅/最中、かりんとう饅頭

[付近の山]

高川山
九鬼山
岩殿山
滝子山
三ツ峠山

[お天気情報]

都留市 (tenki.jp)

[そのほかの補足]

「芭蕉 月待ちの湯」は都留市駅から路線バスまたはタクシーで約10分。施設内に食堂があります。

 

<私的な雑感>

標高も高くなく麓の市街地にも近いところが多いです。 そのようなわけでロケーション的には鎌倉アルプスに近い印象を受けました。

はじめに想像していたよりも登降も多いですし、きつめの斜面もあります。 「里山だろう」と甘く考えておりましたが、設定されている全コースですと思いのほか歩き応えがあります。

個人的には、この登山道を歩くきっかけは「田原の滝」を見るためでした。 田原の滝は登山道にはなく国道脇にあるのですが、ついでにどこかに登ろうかと調べているところ「都留アルプス」を知った次第です。 それまではまったく知りませんでした。

「田原の滝」は松尾芭蕉も訪れるほど江戸時代には景勝の地であったようです。 明治以降に洪水や風化・浸食などの自然崩壊が進んだため治水工事が行われ、昭和になるとコンクリートで完全に護岸されました。 すっかり往時の風情を失ってしまった時期もあったようです。 
しかし現在は、かつての景観をイメージしたような姿に復元(?)されています。 三段ほどの階段状の滝となっています。 岸壁も柱状節理が丁寧に再現(?)されています。
想像以上に水量が多くて激流と瀑音のため平地の滝のようには思えないインパクトとスケール感があります。 なかなか見応えと見栄えがあり、雰囲気もいいなーと感じます(まあ、人工的に造形されているのですが。そのおかげでよく見えるテラスも設置されています)

トレッキングなどでなくてもお近くに来た際には立ち寄る価値があるんじゃないかと思います。 国道沿いなのでアクセスも便利です。

 

<山のお友>

いそべもち

「いそべもち」です。
醤油タレをまとったお餅です。 甘みもありますが塩分補給にもなる醤油味が嬉しいです。 お餅なのでエネルギーにもなりやすいですし、また腹持ちがいいので行動食にぴったりの一品だと思われます。 手の平に収まるサイズで扱いやすく、個別包装されているので手を汚さずに食べることができるのも登山中にはありがたいなーと感じます。


<備考>

平成の名水百選「十日市場・夏狩湧水群」 (都留市)
田原の滝 (Wikipedia)

<参考リンク>

登山・ハイキング (都留市)
都留ハイキングガイド (都留市観光協会)※現在改修中
山梨の登山・山岳情報ポータル (山梨県)
山梨県警察/山岳情報 (山梨県警察)
富士急行線 ※公式サイト
山と高原地図「28.高尾・陣馬」 (昭文社)
大月警察署 ※公式サイト

 

<関連記事>

都留アルプス周辺についての上町嵩広の関連記事です。一部、外部サイトの配信記事もあります。


<バックナンバー>
バックナンバーはnote内マガジン「マイナー登山道を往く」にまとめております。

0001 「石砂山」
0002 「三峰山(丹沢)」
0003 「最乗寺から明神ヶ岳(箱根)」
0004 「秩父御岳山」

 

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(7) カバー写真と、今回ご紹介した山とは、関係はありません。
(8) 情報は掲載日時点の内容です。
(9) 登山道等の状況については、適宜、現地の観光協会、ビジターセンターや山小屋などの各関係機関にあらかじめご確認くださいますようお願いいたします。
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(2022/06/01 上町嵩広  改訂:2024/01/27)