春のおさんぽと音楽
ものごころついた頃から重度の花粉症で、この時期はいつも体調を崩しがち。さくらが咲き乱れ、人々がコートとマフラーを脱ぎ捨ててスキップで街に繰り出す春だが、わたしにとっては気の抜けない季節が始まる。
季節の変わり目で寒暖差も激しく、年度末年度始まりに伴う環境の変化もあいまって、例年はいつも発熱するまで追い詰められる。今年はまだましなほうか。
あさ、くしゃみと同時に目が覚める。3回連続でくしゃみをしたら悪い噂をされているという迷信があったが、そんなかわいいものでもない。10連続くらいの発作が収まってからベッドから這いずり出る。
顔を洗って、水の滴り落ちるままに鏡と向き合う。毎日いやというほど見ている顔。寝起きの腫れぼったい顔。
寝ぼけたまま歯ブラシを咥えて、今日の一日の予定を思い出そうとするけれどなにひとつ覚えていない。くしゃみをもうひとつ。
あぁ、外に出たくないなあ。
そんな毎日だが、単細胞生物なので玄関のドアを開けて春の陽気を浴びた瞬間に、その憂鬱さはすべてどこかへ飛んでいく。
昨夜まで降っていた雨が上がり、湿気ているアスファルトに陽の光が差している。街中で桜の花がちらほらと咲き始め、歩いていくうちに少し汗ばんできて、着ていたトレンチコートを脱いでジャケットの袖をまくる。
ノイキャンのイヤホンから音楽を流して街を歩く。途端に軽快なステップを踏み踊り始めたくなるので、音楽(と文明の利器)は素晴らしい。
今日はそんな私の、春のお散歩のBGMを並べてみた。
■ Honey, Honey / ABBA
春〜初夏の晴れた朝には必ずこの曲を聴きたくなる。本当は映画「マンマ・ミーア!」のサントラ版を聴いているのだけど、良い感じのリンクがなかったので本家の方で。
実は、映画自体は1回くらいしか観てない。
コリン・ファースにドハマりしていた学生の頃に彼の出演作をリストアップして片っ端から観ていったうちのひと作品。でもサントラだけはずっと聴いている。
サントラ版のアマンダ・セイフライドの天使のような歌声が春の晴天にちょうど合うのでぜひ各種サブスクで聴いてみてほしい。
ミュージカル映画のサウンドトラックは、わたしの取り留めのない人生をいろどり、瞬時に映画の主人公にしてくれるから好きだ。
■ Sincerity Is Scary / THE 1975
別に春の歌でもなんでもないけれど、春に聴きたくなる。
そういえば去年の春にTHE 1975が来日して、当時住んでいた大阪で当時の恋人と観に行こうとワクワクしながらチケットを取って、結局その日は私の都合が悪くなって名古屋のチケットを取ってひとりで観に行ったんだった。
雨が降っていて、まだ少し肌寒い4月末の国際展示場。
来日前のマシュー・ヒーリーのばかみたいな言動にブチギレて(詳しくはネットニュースを検索ください)、SOLD OUTのはずがちらほら目立つ空席に「そりゃそうだよなあ」という思いと、ここに来た自分は正しかったのかという葛藤を抱えながら、わたしなりの反抗の意思を示すつもりでグッズは買わなかった。
ビジュアルが良かったのでちょっとだけ後悔はしているが、それもこれも彼が悪い。(それでも嫌いになれないからmattyは本当に罪な男です)
この歌詞がぐさぐさと刺さる。
なぜ人は、一度恋愛関係になると友達に戻れないんだろう。戻れる人たちも世の中に入るのだろうけれど、少なくともわたしには無理だった。
一緒に暮らした家を出るときにこれからは親友ってことで、と固い握手を交わした相手とはもう何も連絡を取っていない。
わたしはそこまで強い人間ではなかったというだけのことかもしれないが。
なんて、じめじめした想いは桜のはなびらと共にどこかに飛ばしてしまおう。
■ Lucy in the Sky With Diamonds / The Beatles
ビートルズの好きな曲はたくさんあるけれど、この曲は春の散歩のお供にちょうどよい。
古くからいろんな人がいろんなことを語っている楽曲なのであえてわたしが特筆することもないでしょう。
■ Strawberry Fields Forever / The Beatles
ちなみに、わたしがビートルズで一番好きなのはこの曲なのでついでに。発熱時の悪夢みたいなMVも好き。
■アイデア / 星野源
星野源にハマるのは悔しいと言い続けて早数年、ふつうにハマっている、というか、当たり前のように彼の音楽を聴いている。
この曲が主題歌となっていた朝ドラ「半分、青い」を、ちょうど新卒の研修で東京にいた頃に観ていた。
だからこの歌は、私にとって春の始まり。新生活のはじまりの歌なのだ。
右も左も分からないところからスタートした社会人人生、この歌が少しだけ背中を押してくれていたような気がする。
■Still Fell Like Your Man / John Mayer
就活をしていたころ、狂ったようにジョン・メイヤーばかり聴いていた時期があって、この曲も春になると聴きたくなる。
めっちゃくちゃに未練がましい男の歌だが、彼が歌うとそれさえも様になるので、本当に色男というものは罪だ。
リクルートスーツを着て梅田を闊歩しながら、そのわたしの脳内にずっと流れていたのはジョン・メイヤーの歌声だったのです。
以上、他にも春に聴きたい音楽はたくさんあるのだが、今日はここまで。
自分の好きな音楽について語る場が今まであまりなかったので、でも四六時中Apple Musicを起動させているくらいには音楽が好きなので、こうして少しずつ記録を残していけたらいいな。
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